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【シリーズ 資格プラス@】第6回 PDCAサイクルで試験も実務も取り組もう

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過激な手法で騒動を起こすあたりは、10年経っても変わらなかった。

去る11月2日、田中真紀子・文部科学大臣が来年度の開設を申請していた大学3校の設置を認めない決定を下した。大学の設置認可は現行制度では、大臣の諮問機関である専門家の審議会で答申された内容を受け、大臣が最終的に判断を下す。3大学は、審議会で開設が「可」とされていたのを覆された形で、記録に残る過去30年では初めてのケースという。すでにキャンパスの新設など準備に向けていた大学側には当惑が広がり、文科省内も戸惑った。田中大臣の唐突な決定は、官僚との対立などで更迭された小泉内閣の外相時代を彷彿とさせた。

田中大臣の言い分はこうだ。「多くの大学が戦後つくられ、教育の質が低下している」。大学の乱立が、学生の就職難や大学の経営難を招いているとの認識からで、問題提起自体は賛同の声が多い。しかし翌日の新聞は「田中さん、乱暴すぎる」(朝日新聞社説)、「『なぜ』の説明が必要だ」(毎日新聞社説)など批判的な論調が目立った。現行のシステムで審査することと、大臣が提起した設置基準のあり方の見直しを切り分けるべきと考えるからだろう。

現行の制度にメスを入れて波紋を起こすのは橋下徹・大阪市長の手法と一見似ているが、弁護士出身で訴訟実務に強い橋下氏は、著書などから、いわゆる「PDCAサイクル」で仕事に取り組んでいることがうかがえる。これはビジネスを円滑に進めるための手法で、計画(Plan)⇒実行(Do)⇒確認(C)⇒行動(Action)の一連の流れだ。問題点があれば解決へ至る計画を練り、まず実行。実行した作業を確認して、改善を伴う行動を展開する。もし田中大臣がPDCAサイクルを意識して、問題提起した後、有識者の意見を聞くなり、きちんと手順を踏んで大学設置基準の見直し作業を進める方向性を示していれば、無用な混乱は避けられたに違いない。

「PDCAサイクル」は、資格試験の勉強計画を立てる上でも当然有効だ。税理士の入江俊輔氏は「スケジュールを立てる」⇒「勉強する」⇒「結果を検証」⇒「どこを直すかを決める」―という流れで受験勉強を進めてきたという(著書「だから税理士はやめられない」より)。税理士試験は、必須の会計2科目と税法分野の選択科目から成る計5科目で合格だ。「法人税法」「所得税法」という選択必須の2科目、そして「相続税法」「消費税法または酒税法」など選択5科目があり、それぞれの分量や特徴を見極める必要がある。

入江氏は受験1年目、会計2科目と「消費税法」の3科目に挑戦。1年目は「消費税法」のみの合格で、2年目は会計2科目と「法人税法」の3科目を受け、「簿記論」だけの合格だった。もともと「3年で合格すると決めていた」という入江氏。ここでPDCAサイクルが発揮された。必須で残った「財務諸表論」「法人税法」「相続税法」の3科目にトライ。この3科目は分量も多いが、最終年と決めていただけに「いい緊張感の中で勉強できた」結果、見事に試験を突破。科目ごとの習熟度、未達成の課題などを冷静に分析しつつ、「勉強」という作業を続けたからこその合格だろう。一連のサイクルを身に着けることは資格取得後の実務でも生かせる。実際、税理士グループの「TKC」は顧客企業の予算管理や収益力を強化する過程で「PDCAサイクルの定着」を掲げている。

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