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【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(3) 大手監査法人からの転職キャリアは?

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【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(3) 大手監査法人からの転職キャリアは?

前回は、私の公認会計士試験合格後から大手監査法人へ進んだキャリアについてお話しさせていただきました。無事、大手監査法人に入所し充実した会計士生活でしたが、いろいろと迷いも生まれました。

監査法人入所後、キャリアに悩む

私が入所した2001年は監査法人の業務が多く、入所当時から忙しい日々でした。そのおかげで新人の頃から、誰もが知っているグローバル企業の監査から、ベンチャー企業の上場支援まで幅広い経験ができました。

二次試験に合格したばかりのスタッフでも、現場では監査法人の一員として先輩会計士に率いられ、上場企業の役員や部長と仕事をしていくことができるからです。

現場に出た初日は、緊張しながらクライアントの方と名刺交換をしたものの、頭が真っ白になってしまい昼食が喉を通らなかったことを今でもよく覚えています。

とはいっても、監査の現場は若いスタッフが中心で、先輩・後輩が仲良く仕事しており、職場環境としては大変恵まれていました。

監査法人での仕事の良い点は、新人でも専門家として質の高い仕事が求められることです。試験に合格したばかりで何も実務を経験していないのに、上場企業で何十年も経理を担当している役員や部長と対等に話をして仕事ができるのは、専門職の魅力の一つでしょう。

ただ、3年ほど経ってみると、不安も芽生えてきました。不満ではなく不安です。自分はこのまま監査法人で一生過ごしていいのだろうか? せっかく試験に合格したのに大きな組織の決められたレールの上で一生を終えていいのだろうか? 何かにチャレンジしなくていいのだろうか? と疑問がわいてくるのです。

折しも、当時はベンチャーブームと呼ばれた時代で、同世代の経営者が株式上場を果たし、ベンチャーの世界が華やかに見えました。

そんな折、友人がITベンチャー企業を設立しました。その友人から財務の責任者として一緒に会社を経営してほしい、一緒にIPOを目指してほしいと声をかけられたのです。

単純な私は、決算書も事業計画も見ずに即決してしまい、当時あった全財産を投げ出してベンチャーCFOとして働く道を選びました。

大手監査法人からベンチャーCFOへキャリアチェンジ

監査法人からベンチャーの世界へ飛び込んでみると、世界は180度、いやそれ以上に異なっていることに気づかされました。

当たり前ですが、ベンチャー企業には普通の企業にあるものが何もないのです。人はいない、お金もない、モノも情報も圧倒的に足りません。

監査法人であれば周りに沢山の先輩や同期がいるため、何か分からないことがあればすぐに人に聞くことができます。図書室やデータベースもあり、疑問点を解決する手段に困りません。

ところがベンチャー企業では、そういったものがいっさいなく、すべて自分で考えて解決していかなければならないのです。

その上、上場企業や金融機関、弁護士などと交渉する際には、誰も知らないベンチャー企業に対しては、当然「何その会社?」という反応をされてしまいます。

そんな中でもいきたのが会計士の資格でした。ベンチャー企業にいながら、「会計士の江黒です。以前は監査法人に勤めており、今はこちらで資金調達や上場準備業務を担当しています」というと、無下に断られることはなく、資格のありがたさを痛感しました。

さらに当時はIPO企業数が150社を超えており、上場指すベンチャーには追い風だったこともあって、無事にベンチャーキャピタルから資金調達ができたのです。

資金調達後、その友人とは会社の経営方針や事業方針で食い違いがでてしまい、結果的に再び転職を決意することとなりましたが、貴重な経験となったことは間違いありません。

次回のコラム
【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(4) なぜ転職先に中小事務所を選んだのか

過去のコラム一覧
【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(2) 公認会計士試験合格後のキャリア選択は?
【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(1) なぜ公認会計士を目指したのか?

 

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(文/江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史、記事提供/株式会社エスタイル)

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