資格を目指す人、資格を取った人であれば一度は考えるであろう独立開業。公認会計士の場合は「独立しても監査は一人ではできないし、会計のコンサルティングでは食えないから独立はしにくい。税理士登録をして税務で稼ごう」という声をよく聞きます。
しかし私は税理士登録をしていません。また最近は私の周りでも税理士登録をせず、公認会計士としてやっていける人が増えてきました。
では、どうやって公認会計士として独立して仕事をしているのか、私のケースを中心にお話しさせていただきます。
独立への決心
ベンチャー企業のCFO(最高財務責任者)から中小会計コンサルティング事務所へ転職してから、非常に忙しいながらも楽しい日々を過ごしていました。
当初の希望通り、会計コンサルティング業務に加えて、併設している監査法人、税理士法人での監査や税務などの業務も経験させていただいておりました。
特に、併設している監査法人が急激に成長し、そちらでは共同経営者として業務に携わらせていただきました。東証一部上場企業の監査報告書にサインをしたり、誰もが知っている有名経営者とお仕事をさせていただいたりと、本当に貴重な経験ができました。
その一方で、「やはり自分の力で仕事をしてみたい」という気持ちも日に日に強くなります。特に、自分よりも若い公認会計士が独立して頑張っている姿や、若い経営者が起業して活躍している姿を見ていると、「自分も独立しなければ!」という思いに駆り立てられるのです。
そんな私が独立を決意した最大のきっかけは、子どもの誕生でした。
よく「家族がいるから独立できない」「子どもがいるから独立できない」という声を聞きます。確かに家族を養う立場で、これからどれほどの養育費や学費がかかるか分からない子どもの存在があると、リスクの大きい独立にはためらいが生まれてしまうと思います。
しかし、子どもは大きくなればなるほど養育費や学費がかかるもので、当時の私には、この機会を逃せば独立はますます難しくなる、と思えたのです。
「独立するなら子どもが生まれた今だ! この子は私を応援するために生まれてきたんだ!」と自分に言い聞かせながら、独立への決意を固めました。
独立の準備には何が必要か
今となっては、独立を希望する方々からさまざまなキャリア相談を受けるようになりました。
よく受ける質問としては、「独立の準備にはどれくらいの期間が必要ですか?」「独立前に準備すべきことはありますか?」「独立後に『独立前にやっておいて良かったな』と思うことはありますか?」などがありますが、今回は「独立に必要な準備期間」について、私の経験を紹介します。
実はこの「準備期間」は、正確に計ることができません。同じ分量の準備内容でも、寝る間も惜しんで1ヵ月間集中してやる人がいれば、働きながら1年かけて徐々にやるという人もいます。
私の場合、当時、監査報告書にサインをする業務を担っており、その業務が終わるタイミングで事務所を離れることに決めていました。
どんなに事前に準備したところで、どんな事態にも完璧に備えておく、というのは不可能です。ですから、あらかじめ自分で独立する日を決めておき、その日に向けてできることをやる、というのが良いと思います。
では、具体的にどんな準備が必要なのか? という部分について、次回からお話ししていきましょう。
次回のコラム
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【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(4) なぜ転職先に中小事務所を選んだのか
【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(1) なぜ公認会計士を目指したのか?
【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(2) 公認会計士試験合格後のキャリア選択は?
【コラム】公認会計士江黒のキャリア独白(3) 大手監査法人からの転職キャリアは?
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(文/江黒公認会計士事務所 公認会計士 江黒 崇史、記事提供/株式会社エスタイル)