投資目的のトレンドはズバリ「老後」
村上ファンド、ホリエモンがかの事件の前に一番元気だった頃から10年が経過しようとしています。あの頃の投資目的といえば、マネーゲームというイメージが強かったような気がします。
しかし、今の一般的な投資目的のトレンドはズバリ「老後」です。年金不安が一般にも定着し、消費税がアップ、インフレ懸念などの理由から、かなり若い層まで老後を心配しています。また、定年を迎えた方も夫婦の公的年金だけでは5万円ほど生活費が足りないというデータもあり、あらゆる世代で「資産運用も考えるべきだろうか……。」という流れが感じられます。
そんなタイミングで非課税制度「NISA」もスタートしたので、金融機関に声をかけられて資産運用を考えたという方も多いことでしょう。
そこで、初めての資産運用を考えている方に知っておいていただきたい2つのことを記していきます。
「リスクとリターン」正しく理解している人は少ない!?
「リスクとリターン」という言葉、誰でも知っていると思われることでしょう。しかし、資産運用の世界でいうリスクとリターンの意味を正しく理解されている方は極めて少ないのです。まず、「リターン」これを、戻るという和訳から、儲けのことと考える方が多いのですが少し違います。元本から増えている部分のことをプラスのリターンといい、減っている部分を実は「マイナスのリターン」というのです。マイナスのリターンなんて初耳だと思われた方はぜひ覚えておいてくださいね。
そして、「リスク」です。これは、危険という和訳から元本割れとか、危なっかしい商品を思い浮かべる方が大半です。実は、資産運用の世界でいうところのリスクとは、先に書いたプラスのリターンとマイナスのリターンの「振れ幅」のことなのです。
「値動き」と解釈してもいいでしょう。最もプラスになっているところから最もマイナスになっているところまでの幅ですから、儲かっている部分も含まれていますよね。
また、先述した内容から、リスクとリターンは切っても切れない関係です。ノーリスクハイリターンなんて言葉はおかしいということにもうお気付きですね。ノーリスクということはノーリターンなのだと思ってください。
「投資信託」作っているのは証券会社ではありません!
資産運用を始めようと思ったら、真っ先に出てくる選択肢は「投資信託」でしょう。証券会社だけでなく、銀行や郵便局でも販売しており、少額から投資可能。インターネットでは1000円からというものもあります。
こんなに身近になっているようでも、投資信託の仕組みを誤解している方がかなりいらっしゃいます。よく誤解されがちなのは、投資信託は証券会社の商品ではないということです。
商品を作っているメーカーに相当する会社があるのです。○○アセットマネジメント、とか○○投信なんて会社名を聞いたことがありませんか? ○○証券ではありませんよね。
これらが投資信託を作っている会社です。作った商品を証券会社や銀行や郵便局に販売してもらっているという仕組みです。
また、投資したお金を管理する金庫番も存在します。金庫番は信託銀行が務めています。
話をまとめると、(1)メーカーで作った商品を(2)販売会社が売って、買った人達のお金を(3)信託銀行が管理しているのです。ですから、皆さんのお金は3つの機関を通して投資されているのです。そうなると、3つの機関に払う手数料が発生することは理解できます。その手数料のことを「信託報酬」といいます。信託報酬を払って運用してもらうわけです。
儲かるか儲からないかの結論はもちろん大切です。でも、ギャンブルではなく「資産形成」として運用を考えるのであれば、相場などだけでなく、こういった最低限の知識や仕組みを知っておくことが大切です。勉強しながら、じっくりお金を育ててくださいね。
(ファイナンシャルプランナー・社会保険労務士 川部紀子)