2015年1月中旬、平成26年度の修了考査が実施されました。修了考査と言えば、会計士試験全科目合格者が“公認会計士”になるための最後の砦、多くの受験者がその結果を心待ちにしていることでしょう。また、「修了考査に合格をしたら転職活動を始めよう」という方も多いのではないでしょうか。 今回は、修了考査の合格と転職成功の関係性について、最新の転職トレンドと照らし合わせながら解説をさせて頂きたいと思います。
公認会計士試験の最後の砦、修了考査に合格すると転職に有利?
従来の転職市場では修了考査に受からないと転職において評価されない、という認識がメジャーでした。会計監査の実務経験があっても最後の試験に受かっていないと市場価値も中途半端になってしまい、書類選考や面接において弱点になってしまうというケースが多かったからです。実際にM&Aや事業再生などの財務コンサルティングを行うFAS業界では、クライアントに出向く際に“公認会計士”の肩書があるとフロントに立ちやすく、全科目合格者よりも公認会計士を優先して採用していた時代が続いていました。また、採用サイドとしても、コンサルティング業界は労働時間も長くなりがちなため、既に試験に合格をしている方の方が仕事に集中してもらいやすいという雇用側の認識もあったようです。
このような採用トレンドは、主にリーマンショック後の不景気下で最も顕著であり、修了考査に合格をしないと転職は無理という認識が主流だったように思われます。
実は修了考査に合格をしていなくても転職のチャンスはある
では、本当に修了考査に合格をしていないと転職は無理なのでしょうか。
実はその定説も近年崩れ始めているのです。例えば、前述のようなFAS業界においては新規受注案件が増加傾向にあり、人材不足感が顕在化してきていますので、一定年数の監査経験をもった若手を修了考査の合否に関係なく採用しています。また、独立系の再生コンサルティング会社やIPOコンサルティング会社、中堅税理士法人のFASチームにおいても、アソシエイト採用であれば修了考査の結果が出ていない方でも採用をしている実態があるのです。
加えて、一般事業会社の経理や財務職でも会計の専門知識を持った若手人材の確保が急がれており、「公認会計士試験の短答式に合格をしたばかり」というポテンシャルの人材まで採用され始めているのです。つまり、現在のように求人マーケットが拡大している状況下では、修了考査の合否はあまり関係なくなってきていると言えます。
あなたの転職市場のイメージ、もう古いかも!?
今回の記事では会計士試験修了考査の結果が、実際に転職のしやすさに影響するのかについて触れてみましたが如何でしたでしょうか?
実は転職市場について皆さんが抱いている“イメージ”はその実際とはかけ離れていることも少なくありません。「監査法人はリストラをしているから採用活動はしない!」と言われた時代から僅か2年後には監査法人業界も採用バブルとなっていますし、昔では考えられない程インハウスの公認会計士も増えてきています。昨年の当たり前が今年になると古い情報になってしまうという事も多々ありますので、これから転職活動を始める方は一度頭の中の当たり前を取り払い、最新の転職市場の実態を把握されることをお勧め致します。
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(文/シニアコンサルタント)