一般の会社員と違い、スペシャリストや士業には「定年」がなさそうな気がします。高齢化社会真っ只中の日本では、資格を持っていて、現役勤務が可能であればその人数は増えていくのに、これからの経済活動を支えて行く若年層の人数は減っていく……。となると、資格保有者の数は飽和状態になる、そんな未来も予想されます。しかし、海外に目を向けてみるとこれまでになかったキャリアパスが開ける可能性が見えてきます。
今回は、米国公認会計士(USCPA)の多様なキャリアパスについてご紹介したいと思います。
日本の公認会計士のキャリアパス
日本の公認会計士数は27,204人(2014年12月現在の公認会計士正会員数のみ抜粋、日本公認会計士協会より)。そして公認会計士試験の合格者数は、2007年の4,041人という史上最大数をピークに減少傾向となってはいるものの、2014年には1,102人、ここ数年は毎年1,000~2,000人の合格者を出しています。(公認会計士・監査審査会「平成26年公認会計士試験 合格者調」より)
日本でのスタンダードなキャリアパスとして、監査法人へ入所し、数年間経験を積んだ後、事業会社やコンサルティングファーム、投資銀行や投資ファンドへ転職したり、そのまま監査法人に残りパートナーの道へ進んだり、また独立して自身の会計事務所を開業するという道があると思います。
米国公認会計士が数十万人いるアメリカでのキャリアパスは?
一方、アメリカではどうでしょうか? 営業許可(License)を持った米国公認会計士(USCPA)は、保有者が世界中にいるため正確な数値が把握できないのが現状ですが、それでも60万人ぐらいはいるといわれています。監査法人に就職すると、5年後残るのは5人のうち1人、パートナーになるのは20人に1人の割合といわれ、また一度監査法人を離れ一般企業のファイナンス職に移り、その後監査法人に戻るというキャリアパスも珍しくありません。この流動性の高さとフレキシビリティは、アメリカならではと思います。
CPA試験に合格後Licenseを取得し、監査法人で数年間働いた後、ロースクール(法科大学院)に進み、弁護士資格を取得するというキャリアパスもよくあります。このようなダブル資格を持った人は、税務弁護士として活躍しています。
また、日本では一括りに「事業会社の経理職」とされてしまいますが、アメリカではCPAの人数が桁外れに多い分、日本ではあまり聞かない、テレビや映画、劇場や楽団などの財務管理を行うEntertainment Accountantや、大学やプロのスポーツチームの予算策定から実績管理などを行うSports Accountantといった、ユニークな会計職が専門職として認められています。
こうして見てみると、USCPAのキャリアパスは多種多様で、やはり人数が多い分、差別化して生き残りをかけている様子が伺えます。会計士に限ったことではありませんが、自身のキャリアパスを考える上で「ユニークさ」を身につけていくことは大事なのかもしれません。
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