国税庁が8月に発表した「平成26年度におけるe-Taxの利用状況等について」によれば、平成26年度のe-Taxの利用率は、全体で前年比0.7ポイント増の58.4%となりました。
e-Taxは2004年に開始した電子申告・納税のシステムですが、利用者は全体の6割弱となっています。利用者が増えない原因として、事前設定が煩雑で、思い立ってもすぐにe-Taxで申告できるというものではないという点が挙げられます。また、上記調査では、e-Tax開始までのステップを全て納税者自身が行ったというわけではなく、税理士など第三者のサポートを受けたものも利用率に含まれています。
国税庁の取り組みその1 – 改善取組計画
これまでも、国税庁はe-Taxの所得税申告における医療費領収書・給与所得の源泉徴収票といった書類添付の省略、納税者にかわり税理士が申告する際の納税者電子署名の省略、日曜日も対応可能なヘルプデスクの設置、スマートフォン・タブレット端末での納付手続を可能とするなど、様々な取り組みを行ってきました。
今後も、一部手続において、添付書類のイメージデータでの提出を可能とし、法人税申告の財務諸表等について、e-Taxで受付可能なデータ形式への変換機能を提供し、そして個人の利用者については、現行の電子証明書を使用する認証方式に加えて、新たな認証方式を導入していく予定です。
そして、さらなる利用者増加・利用満足度の上昇に向け、国税庁では、平成26年9月に、「財務省改善取組計画」(改善取組計画)を策定しました。改善取組計画では、e-Taxをはじめとするオンライン手続の利便性向上などを目指し、平成28年度までの達成目標(e-Taxの利用満足度、オンライン利用率など)を設定しました。
e-Taxの利用満足度は、目標値75%に対し、平成26年度実績は74.2%となり、前年度比で0.9ポイント上昇しました。また、国税庁 HP「確定申告書等作成コーナー」の利用満足度についても、目標値85%に対し、平成26年度実績は83.6%となり、前年度比で0.5ポイント上昇しました。そして、オンライン申請の受付1件当たりの費用も、平成26年度は432円と、前年度より1円低くなっています。
国税庁の取り組みその2 – システム面の改善
e-Taxの利用に当たり、システム障害時の対応や、個人情報管理についても気になるところです。システムの安定運用には、定期的にシステム機器を更新するといったメンテナンスを実施し、また個人情報漏えい対策として、税務職員に業務上必要な部分のみにアクセス権を付与し、セキュリティ監査を定期的に実施するなど、システムの信頼性と情報セキュリティの確保に努めています。
また、全国の国税局と税務署をネットワークで結んだ国税総合管理(KSK)システムを構築し、国税債権の一括管理や、申告・納税データ分析による税務調査や滞納整理に活用し、事務作業の高度化・効率化に役立てています。
ただ、多くの利用者から、事前設定の煩雑さの改善要望があるにもかかわらず、国税庁側は「セキュリティを確保しつつ、利用者の皆様の利便性の向上等が図られるよう、検討を行うこととしている」とのコメントを発表しており、具体的な改善案はまだ出ていません。事前手続のさらなる簡素化に向けて、今後の動向が注目されます。
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