税理士試験の受験者であればご存知かと思いますが、今年(平成27年)の税理士試験の合格発表日は例年よりも遅い12/18(金)となっています。
毎年、会計事務所業界においては、税理士試験の合格発表を受けて年内最後の転職活動をされる方が多いため、今年の“遅めな合格発表日”が転職市場にどのような影響を及ぼすのか気になる方も多いのではないでしょうか。 そこで、今回の会計トピックスでは、税理士試験の合格発表日と転職市場の関係性、今後のトレンドについて解説をさせて頂きたいと思います。
平成27年度の税理士試験の合格発表は遅めの日程。会計事務所の転職・就職市場に影響はあるのか?
税理士試験の合格発表は、例年通りであれば12月の第二週(金)に実施されますが、今年(平成27年)に関しては12/18(金)がその予定日です。※今年の発表日は第三週の金曜日
例年、税理士試験の合格発表が行われると同時に、各会計事務所も採用活動を強化する傾向があるため、会計業界では「12月=年内最後の転職シーズン」という認識が根強く、税理士試験の合格発表~年末にかけて転職活動を行う方が多いのが現状です。
さて、上記の通り、税理士試験の“合格発表後”が転職活動のピークとなると、今年は合格発表が12/18(金)と例年よりも遅めですので、当然のことながら税理士試験受験者が転職活動に割くことのできる時間は限られてしまいます。また、採用側に目を向けた場合も、やはり候補者を面接出来る日数が少なくなってしまうために、今までの採用スケジュール・方法を見直す必要が出てくるのではないかと思われます。
会計事務所のタイプ別に見る「採用トレンド」
上記のように、税理士試験の合格発表が後ろ倒しになったことで、採用側の動き方も変わる可能性があるというお話をしましたが、以下では会計事務所のタイプごとにどのような採用トレンドになるかをまとめてみたいと思います。
・BIG4税理士法人
下記の通り、PwC税理士法人以外のBIG4税理士法人は税理士試験の合格発表日前に自社の法人説明会を行う予定です。因みに、最も早く法人説明会を開催するのはEY税理士法人であり、デロイトトーマツ税理士法人、KPMG税理士法人と続きます。採用基準は例年よりも緩和傾向であり、税理士試験2科目以上の合格者が応募対象となるケースが多いようです。
※各税理士法人の法人説明会実施日が重複しないようになっている点が印象的です。詳細は下記参考データをご覧ください。
・国内大手~中堅税理士法人
辻・本郷税理士法人や税理士法人山田&パートナーズなどの国内大手税理士法人では基本的には税理士試験の合格発表前から採用活動を行っています。また、税理士試験の合格発表直後に実施される専門学校主催の就職イベントにも参加予定であり、税理士法人山田&パートナーズに関しては翌年1月初旬にも法人説明会を実施する予定のようです。
また、中堅税理士法人の多くは税理士試験の合格発表日に関係なく、通年で人材採用を行う傾向があり、合格発表前~発表直後~年明けという中期スパンで採用活動を行っていくトレンドとなりそうです。
※上記のような中堅以上の税理士法人は、非常に採用意欲が高い状態にあり、年が明けても積極的に採用活動を続けていくことが考えられます。
・個人会計事務所
個人会計事務所の中には、思うように人材の確保が出来ていない事務所も多く、通年で採用活動を行っているケースが目立ちます。また、上述のようなBIG4税理士法人や中堅以上の税理士法人とは異なり、採用活動(イベント)にかけることのできる「予算」や「時間」も限られてしまうため、ハローワークや会計専門の求人サイト、転職エージェントなどに定期的に求人を出しておくなど、中長期的な視点で採用活動を行っていることが多いです。また、採用基準に関しては即戦力採用→ポテンシャル採用へとトレンドが変化しているようで、個人会計事務所への就職・転職は以前よりも高いハードルではなくなっていくと考えられます。
・各種特化型会計事務所
相続税申告や証券化(SPC)、医療領域などに特化した専門分野に強い会計事務所も、人材採用には苦労をしているようですので、上記のような個人会計事務所と同様、通年での採用活動を行っています。また、特化型会計事務所の中には中堅税理士法人と遜色ない規模にまで成長している事務所もあり、そのような規模と知名度のある事務所は大規模な法人説明会やオフィス見学会などの採用イベントを実施する傾向にあります。
※特化型で近年注目が集まる“資産税を武器にした会計事務所”では、以前のような高い採用基準を撤廃し、相続税合格か資産税系の実務経験いずれかを保有していれば面接対象とするケースが増えてきています。
この冬、会計事務所の転職・就職活動を行う際の留意点とは?
今年の税理士試験の合格発表日は例年よりも一週間ほど遅く、その結果、各税理士法人が前倒しで採用イベントを企画しているという見方が濃厚です。
一方で、税理士試験の受験者としては「試験の結果を見てから応募先を検討したい」というホンネがあるため、結果として年内に需給バランスが整うことはないと見て良いでしょう。そこで、留意・注意して頂きたいのが応募先の選定~面接受験~内定受諾までのスケジュール管理、そしてタイムマネジメントです。
上記の点を意識しないで転職・就職活動を進めると、時間的にもロスが生じてしまいますし、結果として活動自体が長期化してしまう可能性もありますので、税理士試験の合格発表日までに自分自身の転職方向性を定め、応募書類(履歴書・職務経歴書)を完成させておくなど、出来る限り事前に活動の準備を進めて頂けたらと思います。
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(文/シニアコンサルタント)