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【トップ会計人が語る】一人前ではなく、一流であれ。

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東京・千代田区 税理士法人タクトコンサルティング
代表社員  税理士
本郷 尚氏

大学在学中から税理士を目指し、大学を卒業した翌年に税理士試験5科目合格。国税局OBの税理士が営む個人会計事務所に入所。入所後、不動産関連の実務に多く携わり、5年間の修業を積み、28歳の時に独立開業を果たす。設立当初は横浜に事務所を構えたが、各種金融機関からの依頼が増加し、新橋へ事務所移転。新橋への移転と共に、資産税に業務特化を図る。その後、税理士法人設立のタイミングで丸の内にオフィス移転。各所にて非常に多数の執筆・講演を行い、日本における資産税の第一人者として、現役で活躍中。

税理士になろうと思ったきっかけと、タクトコンサルティング開業に至るまでの経緯

hongou1-thumb-150xauto-37 私が税理士を目指したきっかけはとても単純でして、父親から税理士になることを勧められたことと、遠縁が会計事務所を営んでいてイメージが良かったからです。高校生の時に親戚の事務所を見学に行ってみたんですが、その税理士が凄く高そうな自家用車に乗っていたんですよね。「税理士って結構儲かるんじゃないか?」と思ったのも税理士を目指したきっかけの一つですね(笑)。

 大学を卒業した翌年には税理士試験の5科目に合格することが出来まして、税理士としての人生を走り出すことになります。私がはじめて働いた会計事務所は国税局OBの税理士先生の事務所でした。仕事に対して非常に厳しい先生でしたが、この先生から学んだことは数知れず、プロの税理士としての基礎はここで形成されました。その先生が不動産鑑定士の資格を取得した後、私が担当する案件に不動産関連のものが多くなり徐々に資産税の世界に興味を惹かれていきました。そして、いくつもの資産税案件に携わるにつれ、運命的な出来事が起こるのです。

 当時、一番大きかったクライアント企業のオーナーが亡くなられ、莫大な金額の相続が発生することになりました。当時は相続税率は70%でしたから、その金額も莫大です。オーナーの家族やご子息からは「何で事前に対策をしてくれなかったのか。これからどうしたら良いのか。」と、かなり責められ、窮地に立たされたのです。わからないことは必死で勉強し、どうにかその問題を解決することが出来ましたが、それを機に相続にまつわる事の重大さと恐ろしさを知りましたね。

 入所から5年が経過し、私も28歳で独立開業することになるのですが、その後もまた事件が起こります。前述の相続問題から5年後、今度はそのオーナーのご子息が交通事故で亡くなられ、またその一族の相続問題に関与することになります。これはもう、何かの運命なんだと思いました。独立から10年後には、何かと縁がある資産税の業務に楽しさを感じるようになっていたため、資産税に特化した事務所を新橋に開業することとなりました。

資産税に特化した理由~本郷先生が大事にしている3つの理念

hongou2-thumb-150xauto-38 税理士として独立し始めた頃から、私は税理士仲間達と共に、日本全国の優良会計事務所巡りを行っていました。これはその名の通り、日本全国の優良な先生方の事務所に見学を申し入れ、許可して頂けた事務所を見学しに行き、所長先生から色々なお話を聞かせて頂くというものです。地方でNo.1の事務所を見学し所長先生のお話をお聞きする度に大きな衝撃を受け、そして旅の途中に税理士仲間と語り合うことでまた触発される、その繰り返しでした。今思えば、これがまた良かった。どうすれば自分が一流になれるのかを、真剣に考えることが出来たからです。その結果、事務所巡りをしていた同士達は、現在も第一線で活躍しています。

 全国の著名な事務所を巡ってみて、有名な先生方を見るたびに「ただ、この人たちの真似をしても、結局、その人を超えることは出来ないし、面白くないな」と感じました。だから私は、横浜から新橋へ事務所を移転するタイミングで大きな決断をしました。当時、事務所全体の業務としては、3割位しかなかった資産税に専門特化することにしたのです。資産税案件は弁護士、不動産鑑定士、司法書士等の専門家が集って解決に取り組むことが多いのですが、私はそれをオーケストラの指揮者のように束ねて解決していきたいと考え、「指揮棒=タクト」の名にちなんで、「タクトコンサルティング」という名称を使い始めました。それから資産税業務に特化して業務を行い続け、オフィスも丸の内に移転し税理士法人化、今の「税理士法人タクトコンサルティグ」に至るわけです。

 それから、私が尊敬している有名な税理士の言葉や教えによる部分も大きいですが、「自利利他」、「創造意欲に生きる」、「法形式の濫用はしない」という3つの理念を大切にしています。特に、「創造意欲」については大事であり、当法人のメンバーにはクリエイティブなことに対しては時間も知識も惜しみなく投資しろ、と話しています。お金も知識も、ただ溜め込んでいるだけではダメだと考えています。それを利他のために使ってこそ価値があるのだと考えます。それは決して無駄なことではなく、その経験が血や骨となることで、あるいは様々な情報として、いつか自分に返ってくるからです。

 「タクトはどうしてトップで居続けられるのか」とよく聞かれますが、トップであると意識したことは特にありません。ただ、プロである限りは、「凄い仕事を成し遂げたことがある」ではダメで、「凄い仕事をやり続けて成果を出し続ける」ことが重要なんです。「一人前」ではなく「一流」でなければ本物のプロとは言えないでしょう。

資産税業界の今後に関する見解

hongou3-thumb-150xauto-39 私はこれまで、資産税に関する情報を発信し続けています。執筆、講演、各種セミナー等を頻繁に開催することで、自分の経験談や見解を惜しみなく提供しているつもりです。相続は人が生きる限り必ず訪れる「死」に絡む問題であり、100%なくなることはあり得ません。特に女性は人生で6回は相続を経験するとさえ言われています。夫の両親、本人の両親、夫、ご本人の死が必ず訪れる為です。40代~50代になるとそういったライフイベントが必ず訪れるのですが、我々はその一番近くで、諸々のお手伝いをさせて頂くことになります。

 今の日本には個人金融資産総額1400兆円があると言われています。そのマーケットの大きさはご想像の通りです。また、個人資産という観点からではなく、企業オーナーの法人資産を含めると、相続・贈与といった分野のみならず、事業承継・会社分割・M&A等の法人資産税の分野に関するニーズも絶えることはないでしょう。「資産税の知識や、それに関わる知識や人脈」、「一般の方々を相手にするための人間力」さえあれば、お客様と世代を超えたお付合いができるので、トラブルや悩みがある以上、そこにはいくらでもチャンスがあると考えています。

カイケイ・ファンをご覧の皆様へ一言

 私は人材採用の面接の時に必ず聞くことがあります。それは「税理士試験をどれくらい頑張りましたか?」という質問です。「平日は数時間、土日は10時間以上勉強しました」といった回答をして下さる方々がいますが、それに対して私は「じゃあ、税理士になったからにはそれ以上の時間を実務に割くことが出来ますね」という言葉をかけます。少し引いてしまう人もいますが、それは本当に大切なことです。
 せっかく税理士になったからには、一人前の税理士を目指しているようじゃダメです。一流、いや、超一流を目指して欲しい。その為のヒントは仕事の「現場」にしか埋まっていません。現場の経験が全てです。現場から学び、得られた知識や経験を惜しみなく人に与え、自分の利益ばかりを追求しない。それをやり続けることが出来るか否かが大きな分かれ道になると思います。
 この仕事は税法や会計の知識がどうのこうのという世界ではなく、それを知っているのが当たり前で、その上で人の悩みを真剣に聞く力、話す力、書く力といった表現力、言い換えると「人間力」が必要です。人間力を高めるのは容易なことではありませんが、税理士試験合格後も常に努力することを怠らず、本当のプロを目指して下さい。 (2010年12月8日掲載)

税理士法人タクトコンサルティング

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