東京国税局は、5月29日に第1次試験が行われる「平成28年度国税専門官採用試験」のPRとして、3月に開催された「マイナビ就職EXPO」に出展しました。
「マイナビ就職EXPO」は、昨年の来場学生数26万人、総出展企業数6,700社を誇る民間最大級の就職イベント。近年、国税専門官採用試験の受験倍率が低下している状況もあり、民間就活イベントの力を借りて周知を図るのが狙いだったようです。
今回はそんな人気回復を狙う、国税専門官の業務内容や試験概要について触れてみたいと思います。
国税専門官の仕事
国税専門官は税務署、国税局及び国税庁における国家公務員のうち、大学卒業程度採用(国家Ⅱ種相当)に該当する職員です。税のスペシャリストとして法律・経済・会計等の専門知識を駆使し、内国税の賦課・徴収に関わる業務を執り行います。
国税専門官は、国税調査官、国税徴収官、国税査察官といった職種に分かれています。
納税者から提出された確定申告書などから、申告・納税が適正に行われたかを調査・指導するのが国税調査官。
滞納された税金の督促・徴収、納税に関する支払いの指導をするのが国税徴収官。
裁判所からの令状を得て強制捜査を行い、不正が発見され次第、検察官に刑事犯として告発するのが国税査察官の仕事です。
国税専門官試験の概要
国税専門官試験は、1次試験(筆記試験)と2次試験(面接・身体検査)があり、1次試験では基礎能力試験、そして専門試験(多肢選択式と記述式)があります。
専門試験では、民法・商法、会計学(簿記を含む)のほか、行政法、政治学、英語、情報数学、情報工学といった、幅広い分野が問われます。
1次試験合格者は、2次試験に進み、個別面接・身体検査を経て、晴れて最終合格発表となります。
受験倍率は、2012年の11.5倍以降、2013年が6.7倍、2014年が5.8倍、直近の2015年においては4倍と下降傾向です。
下降とは志望者にとってはありがたい話ですが、この傾向に危機感を持った国税庁は、今年1月と2月に経験者採用試験(国税調査官級:大学卒業程度)のPRで民間の転職イベントに出展し、話題となりました。そして今回、国税専門官採用試験のPRとして「マイナビ就職EXPO」の出展を決めたようです。
試験合格後の進路
最終合格後は、各地方の国税局に「財務事務官」として採用され、税務大学校における約3カ月間の専門官基礎研修修了後、採用局管内の各税務署に配属されます。
そこで1年間の実務経験を積んだ後に、税務大学校地方研修所で約1カ月間の専攻税法研修を受講。その後約2年間の実務経験の後に、再び税務大学校に戻って約7カ月間の専科を受講します。
専科研修修了後、晴れて国税調査官・徴収官・査察官等の肩書きが与えられます。ここまでに、実に3年以上の月日を要しています。
前述のとおり、国税専門官は国税調査官、国税徴収官、国税査察官といった職種に分かれていますが、職種間の異動もあります。しかし基本的には、配属された管轄内で3~5年働き、転勤を繰り返すことが多いようです。
また、意欲、適性、能力次第では海外勤務の可能性もあり、現在も北米、ヨーロッパ、アジア諸国に国税専門官が赴任し、海外税務情報の収集などに従事しています。
今回の就活イベントへの出展で、民間企業を希望していた学生が興味を持つだけでも、この出展は成功だったといえるのではないでしょうか。もしかしたら、今後、国税専門官採用試験の受験をするかもしれません。
公務員試験を受験する学生に対しても、併願先の一つとして、よいPRの機会となるのかもしれませんね。
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