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【コラム】お寺や神社には税金がかからない!? 宗教法人の税制について

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【コラム】お寺や神社は税金がかからない

「お寺や神社には税金がかからない」とよく言われます。宗教法人は一般的な企業や法人に比べて特別なイメージがありますが、本当に税金がかかっていないのでしょうか?

調べてみると、この説は正解とも間違いとも言い切れないようで、宗教法人は他の法人とは違い特殊な税制があるようです。今回は、お寺や神社といった宗教法人ならではの税制について紹介します。

法人税が課せられるのは?

宗教法人は、「宗教法人法」という法律に基づいて、その他の企業や法人とは異なる税金の徴収が行われています。たしかに優遇されてはいるものの、まったく税金がかからないわけではありません。
宗教法人において、課税と非課税を分けるポイントはどこにあるのでしょうか。

まず、営利事業を目的とした法人には法人税が課せられています。しかし、宗教法人は宗教活動を目的とした非営利の組織であるため、法人税は課せられません。
ただし、物品の販売などの収益が発生する事業を行う場合には、宗教法人であっても営利法人と同じように法人税を納めなければいけません。

しかし……ここが複雑なポイントなのですが、販売する物品や事業の内容によって、利益は喜捨(きしゃ)(金銭や物品を神社や困っている人に差し出すこと)とみなされ、課税の対象にはなりません。寄付金やお賽銭も、同様の理由で非課税となります。

課税の対象になる主な事業、そして非課税となる主な事業は、以下のようになります。
●課税対象になる物品や事業
ロウソク/線香/絵葉書/供花/暦/旅館業/駐車場の経営/神社での披露宴など

●非課税となる物品や事業
おみくじ/お札/お守り/お祓い/幼稚園や老人ホームの経営/神社での結婚式(挙式のみ)など

販売する物品の課税と非課税の線引きは、お寺や神社以外でも販売できるかどうかが基準となっています。
宗教法人への課税は一般企業などとの競合を考え、課税の公平性を保つために行うものです。そのため課税対象になる事業を行っていても、金額を低く設定したり、継続的でなかったりする場合は、競合の可能性が少ないと判断され課税の対象にはならないようです。

宗教法人の税金はさまざまな特例が!

法人税以外でも、宗教法人の税金には特別な基準が設けられています。
消費税は、非営利法人である宗教法人でも納税の義務がありますが、寄付金や喜捨金は課税の対象に含まれない特定収入に該当しています。そのためお賽銭やおみくじ、お守りなどで得た収入、宗教法人が運営する幼稚園の保育料などには消費税が課せられません。

次は印紙税です。不動産の売買や金銭の貸借は、宗教法人でも契約書に印紙を貼って印紙税を納めることになっています。ただし領収書は非課税となっていて、たとえ、課税対象の事業に関する領収書であっても印紙税はかかりません。

しかし、宗教法人でも住職や宮司、職員、税理士に給料などを支払う場合は、源泉所得税を徴収し納める義務があります。この点は、他の法人や企業と同様です。

お寺や神社であっても税務調査の対象となっているので、税務署の職員が調査に入る可能性があります。
調査では、対象が法人の所有物にあたるか、それとも住職などの個人の所有物にあたるかが重視されます。そのため宗教法人の運営者は、日頃からこれらの区別を明確にしておくことが重要です。
宗教法人は、一般企業と比べると税金の面で優遇されていますが、支払わなければならないものもあります。なかには宗教法人の税務は他の法人と比べても複雑なので、この複雑さを利用して税金逃れを考える人もいるようです。
そのため宗教法人の税務に関わることになった場合には、状況を具体的に把握して、細かな注意を払う必要があります。

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