最近では、退職金や企業年金を社員自身が運用する401k(確定拠出年金)の利用が広がっていますが、これに職場積立NISAも加わり、企業(職場)が福利厚生の一環として、従業員の資産形成に対してより積極的にサポートする傾向があるようです。
ここでは、職場積立NISAの仕組みと、メリットやデメリットをご紹介したいと思います。
職場積立NISAの仕組み
日本証券業協会が事務局となっている、NISA推進・連絡協議会が9月9日に発表した「職場積立NISAの導入状況等について」によると、2016年6月末時点で職場積立NISAを導入している企業数は2,856社になり、2015年12月末時点の1,268社から1,588社増加したことになります。うち給与・賞与などからの天引きにより拠出している企業数は138社にのぼったとのことです。こちらは同じく2015年12月末時点の91社から47社増加しました。積立金額は、1億998万円から2億3,896万円増加した3億4,894万円となりました。
また、金融庁によれば、2016年3月末時点でのNISAの口座開設数は約1,012 万口座と順調な伸びを示しており、その存在も定着しつつあります。
職場積立NISAは、職場単位でNISA口座(少額投資非課税制度を利用する専用口座)を活用します。NISA口座を利用して、給与や賞与から定時定額で株式や投資信託などへ投資する仕組みです。
通常のNISAと同様、非課税投資枠は年間120万円まで。株式や投資信託の売却益などが5年間非課税になります。利用対象は民間企業、官公庁またはその他の事業体(事業主など)の役職員。利用にあたり事業主などがNISA取扱業者(金融機関)と職場積立NISAに関する契約を締結していることが通常のNISAと異なります。
つまり職場積立NISAとは、金融機関と契約した企業などが、その役職員のNISA取引を一括したうえで、金融商品を購入するという仕組みとなっています。
職場積立NISAのメリット・デメリット
企業にとっての職場積立NISAのメリットは、福利厚生の一環となり、従業員の財産形成意識を高めることにつながることです。
従業員にとってのメリットは、これまでの財形貯蓄や企業年金などと異なり、NISAは引き出しが容易なことから、利便性が高まることでしょう。また、金融機関による職場での投資教育なども行われており、従業員の金融リテラシーの向上にもつながるでしょう。
デメリットは、NISAは一人一口座(1金融機関)しか開設することができないため、自分で既にNISA口座を開設していると、職場積立NISAに加入することができず、不公平な福利厚生制度となる場合があります。
そして本来、投資する金融商品は、投資する人が複数ある選択肢の中から、コストや手数料などを考慮したうえで最適なものを選ぶべきですが、職場積立NISAは、契約している金融機関の金融商品しか選べないため、自ら投資を考えている人にとって一般のNISAと比べると選択肢が少なく、不利と感じる場合もあります。
普段から積極的な投資をしている従業員は、職場積立NISAはあまりメリットを感じないかもしれませんが、投資ビギナーで、NISAのメリットを受けていない人にとっては、職場積立NISAは投資のよいきっかけとなるでしょう。個人的には、企業による補助金の上乗せなど、個人NISAではできないサービスを福利厚生制度として提供してくれると良いなと思います。
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