企業を取り巻く環境にはさまざまなリスクが存在し、今やそれらの対策は必要不可欠な時代であると言われています。会計事務所の中には、企業のリスクマネジメント業務を行っている所も少なくないと思いますが、中でも将来の収益減に備えたリスク対策の一つとして資産運用を行っている企業は多いことでしょう。
資産運用においてもメリットだけでなく、当然あらゆるリスクが存在し、どのように対策を施すかで将来のリターンに大きく影響を及ぼしてきます。
今回のコラムでは、資産運用でのリスクの特徴と軽減方法の基本についてご紹介します。会計士・税理士の方は、今後自身の資産運用を行う場合や、企業のコンサルティングなどに際しての知識としてもお役立てください。
資産運用の「リスク」とは?
投資で「リスク」と聞くと、元本割れの危険性を想像してしまいがちですが、実はそういう意味ではありません。資産運用におけるリスクは「値動きの幅」や、予想どおりにはならない「不確実性」を意味します。つまり「リスクが大きい」とは、価格変動のブレが大きいため、将来の価格がどうなるのか予想ができないことを指すのです。
そこで主なリスクを確認したいと思います。
●価格変動リスク……企業の業績や経済情勢の影響で、投資対象の価格が変動するリスクのこと。代表的な例は株です。
●為替変動リスク……外国為替相場の影響で、交換レートである「為替相場」が変動し、円に換算したときに損失が生じるリスクのこと。
●信用(デフォルト)リスク……債券や企業、金融などとの与信取引において、債務者の財務状態が破綻して、債権の回収ができないリスクのこと。
●インフレリスク……貨幣価値の下落で損失を被ること。また、物価の上昇で資産価値が目減りすること。
次に「リスク」と「リターン」との関係について考えてみましょう。リターンとは、インカムゲイン(利息や配当益)やキャピタルゲイン(値上がり益)などの利益のことです。
リスクとリターンの関係には一定の法則があり、一般的にリスクの小さな商品はリターンも小さくなり、反対にリスクの大きな商品はリターンも多いという傾向があります。
要するに、リスクは小さいけれどリターンが大きく得られるという、誰もが望むような都合の良い商品は存在しないということですね。
リスクを軽減する分散投資
安定的なリターンを望むならば、なるべくリスクの小さな商品に投資をすることが大切なのは言うまでもありません。そのリスクを軽減する手法の一つに「分散投資」があります。
分散投資には、「リスクが分散できる」「相場の動きを逐一気にしなくていい」というメリットがあります。
どのような種類があるか確認してみましょう。
(1)資産を分散
一つの金融商品にまとめて投資すると、投資対象の企業が倒産したり不祥事を起こしたりした場合、大きなリスクを被ります。そのリスクを避けるため、資産を複数の商品に分けてリスクを分散させます。
(2)種類を分散
「円」だけに投資、「ドル」だけに投資、ではなく複数の通貨に分散させて投資する。また、株式だけでなく債券、不動産投資などにも分散して投資するのもいいでしょう。
(3)時間を分散
株や投資信託の基準価格は時間ごと、もしくは日々変動します。1回にまとめて投資するのではなく、買い付けの時期を分散することでリスクを小さくできます。
もちろん、分散投資にはデメリットもあります。個人で分散投資をするには、分散する分の初期投資が必要になり、手数料もそれぞれに支払わなければいけない分、一つに投資するよりも金額が大きくなります。さらにリターンも分散してしまいます。
それでも分散投資は、一つの投資に失敗して大損をすることが避けられます。株式、債券だけでなく、FX、不動産、金などあらゆる資産運用を組み込んで、リスク回避を考えてみてはいかがでしょうか。
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