国税不服審判所は、2017年7月採用予定の国税審判官(特定任期付職員)の募集を開始しました。
国税不服審判所は、税務署や国税局などから分離された別個の機関として、納税者の正当な権利利益の救済を図っています。国税に関する審査請求事件について調査・審理をして裁決を行う機関で、審査請求人(納税者)と税務署等との間に立ち、適正かつ迅速な処理を行う必要があります。
今回は、この国税審判官(特定任期付職員)の職務内容や、募集要項をご紹介したいと思います。
国税審判官の職務内容
国税不服審判所は、審査請求人と、税務署や国税局など処分を行った行政庁の双方から主張を聞き、争点や審理事項を自ら調査して、公正かつ第三者的立場で裁決する機関です。
1年以内に手続を処理することを目安にしているので、事件処理の適正さを配慮しつつ、迅速な処理に努めています。
そんな国税不服審判所が、高度な専門的知識・経験等を有する民間専門家(特定任期付職員)を積極的に採用しています。採用が始まった2007年度の4人以来、2016年度までに113人が採用されています。
国税審判官は、大きく分けて3つの職務があります。
(1)国税不服審判所長に対して審査請求のあった事案の調査・審理のため、求釈明・質問・検査・証拠収集等を行う。
(2)事案の進行管理を行うとともに、審査請求人や処分庁の主張や争点を整理し、的確な事実の認定及び税法等の解釈を行う。
(3)調査・審理の結果を基に、合議体の一員として他の国税審判官等と議論し、最終的に「議決」(処分を取り消すべきか、変更すべきか、審査請求を棄却すべきかの判断)し、適正かつ速やかに議決書を作成する。
国税不服審判所では、個別事案ごとで審判官が担当審判官又は参加審判官として割り当てられるため、自らの職権で請求人等と面談したり、事実関係を調査したりすることが多くなります。また、審査請求は全件、審判官の合議によって議決されるため、裁判所のような裁判官による単独事件はありません。
気になる募集資格や待遇は
募集資格は公認会計士、税理士、弁護士、大学の教授・准教授の職にあった経歴を有する者で、国税に関する学識経験を有することとされるとともに、「十分な民間実務経験(平均は10年程度)や大学における教育・研究実績を有していることが望ましい」としています。
気になる待遇ですが、任期付職員法に基づき年収830〜980万円程度(過去の経験、勤務地、関係法令の改正等により変動あり)が支給され、退職時には国家公務員退職手当法に基づき退職手当が支給されます。
募集人員は15名程度、採用予定日は2017年7月10日。任期は通常2〜3年間です。勤務地は全国の国税不服審判所各支部又は支所のいずれかに配属されます。
平成28年度は、弁護士7名、税理士7名、公認会計士3名が採用されました。応募倍率はここ数年5〜7倍程度で、かなりの狭き門といえます。
現職の職員からは「税法解釈の枠に収まることなく周辺法令の知識が求められ、自己研鑽の環境と意識の向上を得られることから、国税審判官は専門家としての知見を深めることのできる最適な業務です(税理士出身)」「法的思考について、個別の事件を通して経験を積むことができ、魅力を感じます(公認会計士出身)」「第三者の立場から証拠と法律のみを拠りどころとして結論を導くという作業は、弁護士業務とは質の異なる楽しさがあります(弁護士出身)」など、国税審判官は異なる専門家たちと一つの事案に深く関わることで、退官後の専門性の幅が広がることを挙げています。
【この記事を読んだ方におすすめのサービス】
◆≪会計業界の転職はプロにおまかせ!≫無料転職サポートサービスとは?
◆≪転職で譲れないポイントを相談&発見!≫無料転職相談会・無料転職セミナー