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【コラム】2015年より罰則規定が追加された「国外財産調書」、あなたは大丈夫?

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【コラム】昨年より罰則規定が追加された「国外財産調書」、あなたは大丈夫?

国外財産調査(以下、財調)制度は、平成26(2014)年1月から施行された制度で、適正な課税・徴収の確保を図る目的で、国外に財産を保有する人からその国外財産について調書を提出してもらう仕組みです。調書の提出件数は徐々に伸びてはいるものの、出していない人も相当いると予想されることから、今回公表された総額は「氷山の一角」に過ぎないというのが大方の見方となっています。
今回は、財調制度の概要と、昨年から新たに設けられた罰則規定についてもご紹介します。

国外財産調書の概要

国税庁の昨年10月31日の発表によると、平成27(2015)年末時点の富裕層の海外保有資産総額は3兆1,643億円でした。この金額は、国外財産を保有する個人に義務付けられた、国外財産調書を集計したものです。
国税庁の管轄ごとで見ると、東京が5,792件で全体の65.1%を占め、続いて大阪1,223件(13.8%)、名古屋673件(7.6%)となっています。また財産額では、東京が2兆3,274億円で全体の73.6%、大阪3,927億円(12.4%)、名古屋1,793億円(5.7%)と続き、全体の75%近くが東京に集中している現状が改めて浮き彫りとなりました。財産の構成比では、有価証券が全体の48.4%と半数に近く、以下、預貯金(19.2%)、建物(10.3%)、貸付金(5.8%)の順でした。
 
まず、財調提出の対象となる人は、所得税法上の「居住者」で、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人を指します。「居住者」でも、日本の国籍を有しておらず、かつ過去10 年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人については対象外です。
次に、財調提出が必要な国外財産の金額ですが、その年の12月31日現在、国外財産価額の合計額が5,000万円を超える場合となります。
そして対象となる国外財産については、文字どおり「日本国外にある財産」なのですが、外国株式や投資信託、デリバティブといった一部の金融商品の場合は、口座が開設された金融商品取引業者等の営業所等所在地と、保有する口座所在地の両方で判断します。

新たに設けられた罰則規定とは

財調制度には、加算税の軽減・加重措置が設けられています。もし、財調が期限内の提出(通常は翌年の3月15日)であれば、財調に記載のある国外財産に関して所得税・相続税の申告漏れが生じても、過少申告加算税等が5%軽減されます。逆に、期限外の提出や、期限内提出であっても国外財産の記載漏れ・不十分があり、所得税・相続税の申告漏れが生じた場合は、過少申告加算税等が5%加重されます。
そして、虚偽記載、または正当な理由のない未提出については、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される場合があるという罰則規定が、2015年に新たに設けられています。もちろん、虚偽記載・未提出により国外財産の申告漏れが生じた場合は、過少申告加算税等が5%加重されます。

「パナマ文書」の公開による国際社会の反応からもわかるように、国際的な租税回避行為に対して国民の関心が高まっています。国税庁は、経済のグローバル化に対応し、国際課税への取り組みは重要と踏まえ、10月に「国際戦略トータルプラン」を発表しています。その中で、財調の提出義務があると見込まれながら調書が未提出である者に対して、文書照会等を行っていくと、監視強化の姿勢を示しています。
あなたの場合は大丈夫でしょうか? もしかしたら……と思う方は、あらためて財調制度を確認してみてください。

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