近年、IPO市場にも活気が戻ってきており、その流れの中でベンチャー企業のCFO(または候補)求人も出始めています。また、IPOを目指すような会社では、経営管理体制の強化や金融機関との折衝などを期待して公認会計士を採用する動きも増えてきています。
このような転職市場であれば、監査法人からベンチャー企業に飛び込むことをお勧めしたくなるのですが、今回はあえてベンチャーを支援する側の“ファンド”についてフォーカスをしてみたいと思います。直近のIPO市場やベンチャーCFOのキャリア、ベンチャー投資等に興味をお持ちの方にこそご覧頂きたいトピックです。
ベンチャーの人材採用マーケットについて
リーマンショック後、数々の企業がIPOを断念しましたが、ここ数年間は全く逆の市場感になっています。2016年、東京証券取引所に上場した会社は84社、2014年~2016年の3年間を見ても全て70件を超えており、2015年に関しては95社と100社に迫る勢いでIPOが行われました。また、IPOを実現した企業のみならず、これから数年間かけてIPOを狙おうという上場予備群の会社も多く、転職市場でもベンチャー企業の管理部門人材の採用が過熱してきています。また、こうしたIPOブームに乗って監査法人出身者もベンチャー企業に転職するケースも増えつつあるようです。
IPO準備企業に転職、転職者のその後は?
では、実際にベンチャー企業に飛び込んだ公認会計士は活躍できているのでしょうか。
その実態は半々ではないかと思います。例えば、転職して成功だったという方はIPO準備に向けて経理体制の整備・強化、金融機関や証券会社、監査法人の対応等で自身のバリューを発揮しているようで、中途社員であっても自社の経営に参画出来ている印象です。
一方でコンプライアンスやガバナンス、業績などIPOを実現させるには乗り越えるべき壁が数多く存在しますので、IPOを目指したものの途中で断念せざるを得ない企業も実際は少なくはありません。また、ベンチャー企業に飛び込むということは、創業オーナーと非常に近い距離で働くということでもあります。ですから、実際は「社長との相性」や「経営方針に共感できるか否か」等、数字では読み取れない部分でミスマッチを感じる方もいらっしゃるようです。上記のようにベンチャー企業に転職をする際は、その会社の将来性や社長のビジョン、財務体質などを加味して、慎重に会社選びをしていく必要があると言えるでしょう。
ファンドで経験を積み、ベンチャーCFOを目指す道もあり
一方、ベンチャーには興味を持っているが、あまりリスクは取りたくないという方には、ファンドでの就業も視野に入れて頂きたいと思います。ファンドは投資先に資金を投下し、IPOやM&A、再生といったゴール(exit)に向かって助言やコンサルティングを行っていますので、投資先の経営者・経営陣と相当密にコミュニケーションを取っていくことになります。また、その投下した資金が回収できないとファンドとして儲けが出ませんので、単なる助言では終わらずに、場合によっては投資先に人を送り込み(ハンズオン)、投資先の経営を一緒に行っていくこともあるのです。また、ファンドで働くと様々な投資候補先と接点を持つようになりますので、純粋に様々なビジネスモデルと出会うことも出来ますし、実際に資金を入れるべきか投資家目線でシビアな判断を下すことも増えるでしょう。
このような活動を経ていくと、投資を受けることの出来る会社、そうではない会社の見定めが出来るようになります。そして、上記のような経験・視点を持った公認会計士であれば、いずれ有望なベンチャー企業を見つけだし、その企業のCFOになることも可能でしょう。
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(文/シニアコンサルタント)