事業に使い、時が経つにつれてその価値が低下するとみなされる資産は「減価償却資産」と呼ばれ、取得にかかった金額を必要経費に含めることができます。
減価償却資産は「有形固定資産」「無形固定資産」「生き物」があり、有形固定資産は建物や機械、車両、器具、備品など、無形固定資産はソフトウェア、特許権、商標権、実用新案権など、生き物は牛、馬、豚、柑橘樹、りんご樹などが該当します。
土地や骨董品は時間が経過しても価値が下がらないので該当しませんが、絵画などの美術品に関しては、特定の条件を満たすことによって減価償却資産の対象になると定められています。しかし、平成27年1月1日以降に取得する美術品等については新しい取り扱いが適用されることになったので、注意が必要です。
改正後の美術品の減価償却資産としての扱いとは?
企業や病院の入口、社長室などに絵画その他の美術品を飾っているケースは珍しくありません。こうした場所に飾る美術品が減価償却資産に該当するか否かについては、特定の適用条件を満たすことが必要となっています。
かつての基準では「美術品の年鑑などに登録されておらず、なおかつ1点が20万円未満」であることが判定の基準とされていました。しかし、今回の改正によって、その基準が変わりました。
新しい判定の基準は以下の通りです。
■古美術品や古文書など、歴史的な価値や希少価値を持っている美術品ではないこと。代替性のない作品ではないこと。
■取得価額が1点100万円未満である美術品等は原則として減価償却資産に該当する。なお、「時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなもの」は、減価償却資産に該当しないものと取り扱われる
■取得価額が1点100万円以上の美術品等は原則として非減価償却資産に該当する。なお、「時の経過によりその価値が減少することが明らかなもの」に該当する場合は、減価償却資産として取り扱うことが可能
現在では、こうした基準を満たした絵画などが、減価償却資産に該当するとみなされているのです。
価値の減少は、どうやって見分ける?
前述で説明した減価償却資産の基準の中でも、その美術品が「時の経過により、その価値が減少することが明らかなもの」であるかどうかは、判断の難しいポイントであるといえるでしょう。
国税庁のホームページに掲載されている例として、以下のケースが示されています。
・会館のロビーや葬儀場のホールなど、不特定多数の人が訪れる場所に飾るものであること
・移設することが難しいこと
・他の用途に転用をしようと考えても、置かれている状況や使われている状況によって、美術品等としての市場価値がつかないと判断されること。
こうした条件全てに該当すると判断された場合、減価償却資産とみなされます。
これに応じて、今まで減価償却資産としていなかったものが、減価償却資産とみなされるものも出てくることでしょう。減価償却資産にすると、固定資産税(償却資産税)に影響します。また、減価償却には「定額法」と「定率法」の2種類の計上の仕方があり、選択することができます。
定額法……償却費の額が原則として毎年同額
定率法……償却費の額は初めの年ほど多く、年とともに減少。償却額が「償却保証額」に満たなくなった年分以後は毎年同額となる
さらに、中小事業者は、取得価額30万円未満の減価償却資産の即時償却が認められ、少額減価償却資産として処理することもできます。会社にとって、どのような処理の仕方がメリットになるのか、その見極めを公認会計士が行うことになるでしょう。
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