転職市場が“買い手優位”だった頃、「転職するなら35歳まで」というキャッチフレーズが世間で流布していたように思いますが、実際、現在の転職市場においても、その認識は正しいのでしょうか。今回の会計トピックスでは、「≪会計版≫35歳以上の転職動向」と題し、実際に35歳を超えると転職が難しくなるのか、業界特化型転職エージェントの視点で解説をさせていただきたいと思います。
もはや転職35歳限界説は崩壊
結論から申し上げると、今のような売り手市場において“35歳限界説”は死語と言っても良いでしょう。2014年~2016年の三ヵ年の転職動向を見ても、35歳以上の求職者の多くが無事に転職できています。特に会計事務所での実務経験をお持ちの方であれば、資格の有無に関わらず内定を獲得できている状況です。
但し、売り手市場だからと言ってどのような事務所からも内定を勝ち取れるという訳ではありません。例えば、Big4税理士法人、準大手税理士法人など大規模クライアントや国際性の高い案件を得意とする事務所では、あまり積極的には35歳以上の候補者を採用しておらず、採用する場合も資格と実務経験、加えて英語力などを高い基準で審査される傾向にあります。
一方、中堅以下の税理士法人においては、基本的には35歳以上の候補者も現実的に採用対象としている印象です。例えば従業員100名以上の中堅税理士法人では、マネジャーやその候補として業界での経験豊富な税理士を意欲的に採用しています。また、一般的な個人会計事務所においては、税理士資格や科目の有無に関わらず、業界経験があれば十分内定が獲得できる市況感だと言って良いでしょう。以上の傾向から、35歳限界説がもはや崩壊したと言っても良いのではないかと思います。
年齢より経験値がものを言う時代へ
上記のように現在の転職市場では35歳を超えても十分転職は出来ます。これから転職活動を始める方は、年齢よりも自身のスキルや経験を気にしたほうが良いでしょう。
例えば、日常業務に関して、クライアントの記帳代行や決算、税務申告書作成など一般的な業務を完結できますか?決算から申告書作成、顧客訪問(巡回)までを即戦力で対応できるのであれば、恐らく高く評価されることと思います。また、相続や事業承継といった資産税関連業務への対応経験・スキルがある場合も転職市場では評価をされることでしょう。
中には一般的な法人顧問業務の経験は皆無ですが、資産税の分野なら自信があるという方もいらっしゃいます。一見すると、そういった特化型事務所の出身者はキャリアのバランスが悪く見えるのですが、やはり専門的な知見や経験を持っていれば評価をされるものです。
一方、年齢は重ねているものの、一般的な業務でさえ単独で判断や処理が出来ないという方は転職市場で苦戦を強いられるかもしれません。ですから、これから転職も視野に入れている方であれば、今のうちから自身のスキルや経験を棚卸されると良いでしょう。
その際に、自身の弱みとなる点を現職で埋めることが出来るのであれば、少しずつでもアクションを取って頂くことをお勧めします。
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(文/シニアコンサルタント)