2月8日、京都府警は未公開株の名義変更などを口実に、約1億2千万円をだまし取った詐欺容疑で福岡市中央区の男ら計3人を逮捕しました。
3人の男らは、平成27年9月~28年2月にかけて、京都市内の無職女性(70)宅に証券会社社員や国税局職員を騙り電話をし、未公開株の売却を持ちかけた上で「名義変更に手数料が必要」「所得税がかかる」などと偽り、手数料や税金などの名目で約230回にわたり計約1億2千万円を銀行口座に振り込ませ、だまし取ったとのことです。
警察庁がまとめた「振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害状況」によれば、平成28(2016)年の「特殊詐欺」の認知件数は14,151件(前年比2%増)、金額にして約406億円(前年比16%減)でした。税務職員を装った詐欺は、どのような手口があるのでしょうか。
税務職員を装った不審な電話やメール、訪問の例
1.個人情報の搾取(電話)
国税局や税務署の職員を名乗る者から電話があり、マイナンバー制度アンケートや年金受給調査と称して、個人情報を不正に取得されるケースが増えています。年齢や家族構成だけでなく、年金の受給状況、また、預金残高や口座情報、株式・投資信託・国債の保有の有無、そして子供の生年月日や居住地を聞き出そうとする事例も発生しています。
アンケートを断ろうとすると、「アンケートに協力しないと大変なことになる。罰則に近いことが行われる」と脅しめいたことを言うようなケースも確認されています。
その他にも、税務職員を名乗る者から、「あなたに送付すべき滞納通知を同姓同名の別人に間違えて送付してしまった」との連絡があり、住所、氏名等を聞き出そうとする事例が発生しています。
2.税金の滞納を通知(メール)
国税庁から滞納整理を委託された業者と名乗り、「未払いの税金を払わなければ不動産などの財産を差し押さえる」「支払い能力がなければ家族や親戚から回収する」などの内容のメールが届く事例や、税務職員を装った者から「負債通知」と称し、「これはあなたが税務署に対し負債がある旨の通知です。この通知から14日以内に支払われなかった場合、あなたの銀行口座から資金を取り立てる行政措置が取られます」等の内容のメールが届く事例が発生しています。
3.税金の徴収や、帳簿書類や金庫の内容確認、現金・キャッシュカードの持ち去り(訪問)
税務職員を名乗る者が自宅等に訪問し、未納の税金を徴収、または帳簿書類や金庫の中身を見たり、現金・キャッシュカードを持ち去るなどの事例が発生しています。
詐欺か本物かを見分けるポイントは
もしも顧客から上記のようなことを相談されたら、注意を促し、警察などに問い合わせをしてもらうのはもちろんのことですが、以下の注意点も参考にしてみてください。
(1)税務職員と名乗る者からの電話問い合わせで、家族への質問が来たら、即答せずに本人と相談の上回答する
これは、税務職員が電話で問い合わせをする場合は、提出した申告書等をもとにその内容を本人に確認することを原則としているためです。
(2)税務署や国税局では、還付金受取のために金融機関等のATMの操作を求めることはない
同じく、税務職員は納税や金融商品などの取引に関して手数料の振り込みなどを求めることもありません。
(3)税務職員は、必ず身分証明書と目的に応じた証票を携帯している
税務調査などの際は質問検査章と身分証明書を、また徴収担当の職員が滞納整理を行う場合は、徴収職員証票と身分証明書を必ず携帯しています(身分証明書はいずれも顔写真つき)ので、訪問があった際は、身分証明書等で所属、氏名等を必ず確認してください。
(4)国税局や税務署では、滞納整理は自身で行っている
もし「国税庁、税務署からの委託業者」と名乗る人から滞納税金の催促があれば、詐欺の可能性が非常に高いため、無視しましょう。
(5)現金受領の際は、何らかの書類を交付している
徴収担当の職員が、納税のために現金を受領する場合には、必ず領収証書を交付しています。また滞納整理において徴収担当の職員が、現金等を差し押さえた場合には必ず差押調書を作成し、差押調書謄本等を交付しています。
詐欺の手口は巧妙で、日々変化しています。こういった詐欺の被害にあわないように、上記の点に気をつけるほか、すぐに警察などに相談することを徹底してあげてください。
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