日本税理士会連合会は1月21、28日の2日間、東北税理士会県支部連合会、いわき支部・相馬支部の共催で、福島県および宮城県内の計6会場で東日本大震災による被災者向け無料税務相談を実施しました。原発事故の賠償金にかかる税の取り扱いや、津波で甚大な被害を受けた地域においては、土地の整備が進み住宅着工件数が増加している現状を踏まえ、住宅取得等特別控除関係の確定申告作業の相談に応じました。
東日本大震災から6年が経過しました。その傷が癒えないうちに、昨年は熊本や鳥取で大地震が発生しました。そのほかにも、北海道や岩手県で発生した台風による被害、新潟県糸魚川市の大規模火災など、残念ながら災害は後を絶ちません。また近い将来、首都圏直下型地震や南海トラフ巨大地震が各地を襲うことも想定され、政府も減災のためにその対策を講じています。
不運にも災害の被災者となった場合、所得税に関してさまざまな税制上の措置があります。今回はその中のひとつ、「災害減免法」について取り上げてみたいと思います。
災害減免法による所得税の軽減免除
地震や津波、集中豪雨や台風、そして火災などといった災害により住宅や家財に損害を受けたときは、災害減免法を使い、当年の所得税を軽減・免除できます。災害減免法は、税額を直接控除するので所得税の減免効果が大きいのが特徴ですが、住宅や家財の損害のみが対象で、生活に必要な資産の損害は含まれません。
災害減免法の対象となる個人は、災害のあったその年の所得が1,000万円以下で、震災、風水害、火災などの災害によって受けた損害額が、住宅または家財の2分の1以上、かつ、雑損控除の適用を受けない方です。災害減免法適用の具体例を挙げると、所得金額が500万円以下の方は所得税の全額が免除、所得金額が500万円を超え750万円以下の方は所得税額の2分の1が、そして所得金額が750万円を超え1,000万円以下の方は所得税額の4分の1が軽減されます。
災害減免法の適用を受けるためには、確定申告書などに適用を受ける旨、被害の状況および損害金額を記載して、納税地の所轄税務署長に確定申告書などを提出することが必要となります。
損害額の算定方法
災害減免法の適用を受けるためには「震災、風水害、火災等の災害によって受けた損害額が住宅又は家財の2分の1以上」を満たさなければなりません。しかし災害が発生、自宅が倒壊し居住不可となった後に、自宅の取得価額と時価や、そして家財がどれくらいなのかと聞かれても、すぐに算出できる人はそれほどいないと思います。そのような場合、国税庁が計算方法を公開しています。
自宅の取得価格が分からない場合は、各地の国税局が地域別、構造別に1平方メートルあたりの工事費用を定めているので、その工事費用に住宅の総床面積を掛けて取得価格を算出します。家財の価格は実際の保有状況にかかわらず、家族構成に応じて一律に決めています。例えば30代の夫婦なら800万円で、18歳未満の子どもがいれば1人につき80万円を加算します。
今回の災害に関する税制度の紹介はほんの一部です。国税以外にも、地方自治体で地方税などの減免・納税の猶予を設けている場合があります。事前にリサーチしておけば、災害が起こってから慌てなくてよいかもしれません。
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