公認会計士や税理士を目指す方は、数字の見せ方や、情報の見せ方にも詳しくなっておきましょう。
このコラムでは、前回に引き続き、これから会計人を目指す方を対象にExcelの知識を提供いたします。
今回は見積書や請求書、給与明細などの雛形作成に役立つ「データの一発表示」についてお伝えいたします。
取引先の社名をリスト形式で選択できるようにする
まずは、取引先の社名をリスト形式で選択できるようにしてみましょう。【図1】で「御中」の前に入る取引先の社名を選択式にする方法をお伝えいたします。
最初にすべきことは、【図2】のような取引先のリストを作成することです。
【図1】と同じExcelファイルに取引先リスト専用のシートを作成し、A列に取引先の社名、B列に住所、C列に電話番号、D列にご担当者を入力しましょう。
この[取引先リスト]シートは外部に見せるものではありませんので、書式などはあまり気にしなくてもよいでしょう。
[取引先リスト]シートが作成できたら、[請求書]シートの取引先の社名を(都度、入力ではなく)リスト形式で選択できるよう設定します。今回の例では、先に【図3】のように取引先の社名が表示される部分(B6:C6)を結合してから、[データ]→[データの入力規制▼]→[データの入力規制(V)]を選択します。
【図4】のような表示が出てきますので、「入力値の種類(A):」を「リスト」に設定しましょう。「元の値(S):」の欄を一度クリックしてから、[取引先リスト]シートを選択し、社名が書かれているA2:A9を選択します。1行目の見出しは選択しなくて構いません。
「元の値(S):」の欄に「=取引先リスト!$A$2:$A$9」と入力されたことを確認し、[OK]ボタンをクリックします。
「入力規制」の設定が完了すると、【図5】のように、[請求書]シートのセルB6を選択したタイミングで▼ボタンが表示されるようになります。▼ボタンをクリックすると[取引先リスト]にある社名が一覧で表示されます。
社名を参照して住所や電話番号を一発表示させる
次に、取引先の社名を参照して住所、電話番号、ご担当者の欄を一発表示させる方法をお伝えいたします。この一発表示にはVLOOKUP関数を使用します。
VLOOKUP関数は「=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索の型)」です。
「検索の型」は今回の場合、完全一致させるため「0」を入力する必要があります。
[請求書]シート内の住所を表示させるセルC7、電話番号を表示させるセルC8、ご担当者を表示させるセルC9にそれぞれ下記のような関数を入力しましょう。
セルC7: =VLOOKUP($B$6,取引先リスト!$A$2:$D$9,2,0)
セルC8: =VLOOKUP($B$6,取引先リスト!$A$2:$D$9,3,0)
セルC9: =VLOOKUP($B$6,取引先リスト!$A$2:$D$9,4,0)
VLOOKUP関数を設定すると、社名のセルB6に何も入力されていない場合、セルC7、C8、C9は「#N/A」とエラー表示されますが、セルB6で社名を選択すると【図6】のように住所、電話番号、ご担当者が瞬時に自動入力されます。
このように一発表示させるテクニックを雛形ファイルとして用意しておくことで、手入力個所の減少、タイピングミスの防止、作業効率アップなどの効果が期待できます。
今回紹介した「入力規制」と「VLOOKUP関数」は非常に便利な組み合わせといえます。
たとえば、請求書や見積書の商品名を入力規制で設定し、型番や単価をVLOOKUP関数で設定したり、給与明細の従業員氏名や従業員IDを入力規制で設定したり、基本給や通勤手当などをVLOOKUP関数で設定しておくなど、さまざまな使い方ができます。ぜひ、試してみてください。
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