全国で猛烈な暑さが続いています。気温35度以上のいわゆる「猛暑日」の連続記録が各地で更新される状況です。「今年の夏は暑いですねぇ」という毎年お決まりのセリフも、今年に限っては格別のリアリティを感じます。
そんな中、多くの経営者が気にしているのは光熱費、特に電気代です。猛暑に加え各電力会社による料金引き上げもあり、経営を圧迫する要素となっています。税理士・会計士は、経営者から様々な経費節減のアイデアを求められることがありますが、今夏は電気代削減のノウハウについて質問される機会が多くなりそうです。
1年で最大の電気使用量となることの多い8月は、1ヶ月の料金のみならず、今後の電気代にも影響を及ぼします。多くの事業者の電気基本料金は「デマンド値(最大需要電力)」によって決まります。簡単に言うと、30分ごとの電力使用量が過去の最大値を超えると、翌月から基本料金が上がる仕組みです。
1日で最も電力使用量が多くなる時間帯を意識し、ピークカットやピークシフトを行うことは、電気代の削減の基本となる、とても重要な視点。「この夏、基本料金は絶対に上げない!」という目標は、なかなかの動機付けになるでしょう。
具体的に電気代を下げるためにすぐできる方法は、空調の温度調整、LEDなど照明設備の交換、使っていない部屋の消灯等、地味なものが多いのですが、こういった一般的な方法を事業所単位で行うと、かなりの効果があります。
一つ一つの知識はそれほどのものではなくても、顧問先から質問をされた時に、電気料金の仕組みや節電手法を整理して提供できれば信頼感は上がります。電気代削減の第一歩は電気の「見える化」。事業所内の機器ごとの電気代の概算や、簡易な節電のチェックリストを渡してみるのもよいでしょう。
とはいえ、電気の専門的知識のない会計人が、業務の傍らにできるアドバイスには限界もあります。電力会社との契約条件の変更、またPPS(特定規模電気事業者)との売電契約、大がかりな省電力機器や太陽光パネルなど発電設備の設置には、専門的な知見が不可欠となります。
省エネ関連機器の販売・設置、また光熱費に関するコンサルティングを行う会社が、最近増えてきました。「玉石混交」のきらいもありますが、顧問先のマッチングの相手先として、信頼できる業者との関係を築いておきたいところです。エネルギー機器に限りませんが、設備投資を行う際には減価償却やリース税制など、会計知識が不可欠となります。また省エネ機器は、国や地方自治体による環境減税などにも関わります。エネルギー関連業者も会計人の知見を必要としているのです。
すでに、会計人とアライアンスを組み、成功報酬型の電気代削減コンサルティングを提供している業者も出てきています。節電ノウハウへの需要が高まる条件が揃う今夏、エネルギー業界と会計業界で、ビジネス創出の動きが活発化するのではないか、と予想しています。