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【会計士Xの裏帳簿】ホワイトカラーエグゼンプション 勤務税理士・会計士の発言に注目

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2013年10月11日掲載

政府は現在、一定のホワイトカラー労働者について、週40時間、1日8時間の労働時間や、時間外労働に対する割増賃金の支払い義務等の規定を適用しない「ホワイトカラーエグゼンプション」の導入を検討しています。

同制度は2007年の第一次安倍内閣で一度浮上しましたが、労働界などからの激しい反発に合い、見送られた経緯のある曰くつきの案件。安倍首相の再登板によって、議論が再燃する情勢になっています。

今回、政府はまず一部の大企業で同制度を試験的に導入する方針。想定する労働者は年収800万円程度の課長以上の社員です。割増賃金を支給しない代わりに、仕事の繁閑に応じて労働時間や休日を柔軟に調整できるようにすることで、労働力を効率的に配置し、生産性を高める狙いがあるとされています。

一方、反対論としては、現行の裁量労働制における「名ばかり管理職」問題で顕著に見られるように、ホワイトカラーエグゼンプションが「残業代カット」の方便となるといったものが主です。

ところで、ホワイトカラーエグゼンプションが想定する「仕事の繁閑があり、比較的高めの収入があるホワイトカラー」という労働者像を見て、「おや?」と気づくことがあります。これが「勤務税理士・会計士」の実態に近い、ということです。

税理士・会計士は、顧問先企業の労務に関する相談を受けることが多くあるので、労働法制の変更について注目している方は多いと思います。それに加え、自身の勤務する事務所で同制度が採用された場合について考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

会計士と税理士では時期は異なりますが、会計業務には、明らかに繁忙期があります。その期間に集中して業務を行い、それ以外の時期で調整するスタイルの働き方は現実的に可能であるのか、また可能な場合、給与や私生活において想定されるメリット・デメリットはどういったことか、などを考えると、制度についてより深い理解ができそうです(「今の時点で残業代なんて支払われていない」という声も聞こえてきそうですが…)。

労働法制については、えてして「資本vs労働」といった陣営の対立として語られます。そのような陣営分けが無意味とは全く思いませんが、陣営への帰属、また好悪から、自分の「意見」が自動的に決定され、実態を見ることなく互いの陣営を糾弾し合うタイプの議論が行われがちです。

その中で、勤務会計士・税理士は、様々な企業の経営実態をつぶさに見る職業人として、また典型的なホワイトカラー労働者として当事者の見識を述べることができる貴重な存在。同制度の導入に賛成するにしろ、反対するにしろ、表面的な議論に右往左往するのではなく、自分の体験ベースで新しい「働き方」について思考すれば、論を展開することができるのではないでしょうか。

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