テレビドラマの制作者が、このブームを題材にしないわけがなかった。 1月クールで「シェアハウスの恋人」(日本テレビ系列)が始まった。ドラマは、恋愛に奥手で、職場でもさえない主人公のOLを水川あさみさんが演じ、過去に傷を持つホームレス(演・谷原章介さん)、自分を「宇宙人」と名乗る不思議な男性(演・大泉洋さん)と同居することになる。ドラマはこの3人を中心に繰り広げるラブコメディーだ。
昨今話題になっている「シェアハウス」。国土交通省は「シェア住居」と呼んでおり、(1)入居者同士の交流スペースが1カ所以上ある(2)台所や風呂場、トイレなどを共同で使う(3)第三者の運営事業者が管理する――の3条件を満たす物件と定義しているそうだ(2013年1月28日・日本経済新聞)。事業者が運営する形態ばかりでなく、居住者が借り上げ契約から運営まで行う「DIY」型のハウスもあるが、関連業者のデータでは、この5年で4倍に急増しており、会計士や税理士でも独身の若い人は利用している人もいるだろう。実際ある都内のシェアハウス業者はサイトで30代の会計士を紹介している。「初めてのシェアハウス生活はとても楽しい」そうで、スキルアップで語学力を身につけようと、この業者がサービスの一環で行っている英会話レッスンも受講。シェアハウスでまさに「リア充」な生活を送っているようだ。
シェアハウスの魅力はどのようなものか。 「シャンプーを人と共用できるか」「掃除や片付け方」、はては「プリンを勝手に食べられた」といった共同生活による不満もあるが、そういったところは住人同士が知恵を出し合って解決、基本的に共同生活を楽しみたい人がシェアハウスを利用している。実際に住んでいる女性二人が書いた「シェアハウス わたしたちが他人と住む理由」(辰巳出版)によると、都心部のように家賃が高い地域では、複数の居住者で折半できる経済的メリットがあることに加え、「起業するために、一緒に集まる必要があったから」といった目的意識を高く持っている人も多いらしい。その点、資格試験を目指す社会人には打ってつけのライフスタイルかもしれない。
女性限定をうたうシェアハウスでは、洗練された調度品を設置。イベントスペースで定期的にパーティーを催すなど楽しい雰囲気を醸し出しているが、資格取得を目指す人や試験勉強に専念したい人向けの部屋も設けている。会社勤めをしながら、会計士や税理士の試験勉強を続けている一人暮らしの人の中には、ついソファで横になって…と自宅では気持ちが緩んでしまうこともあるかもしれない。しかしシェアハウスに入居し、「私は会計士を目指しています!」と周りの人に言ってしまえば、良い意味で自分にプレッシャーをかけられる。「今日は休もうかな」とついつい寛ぎかけたところに、他の住人から「試験頑張ってね!」と励まされると、やっぱり自習室に向かってしまう――なんて効果もありそうだ。
新しいライフスタイルとして注目されているシェアハウス。会計士や税理士を目指す人でも利用者が今後増えるかもしれない。