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【コラム】 藤浪や大谷…ルーキーは確定申告をどうすべきか?

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球春とともに確定申告の時期が今年もやってきた。 プロ野球選手は個人事業主だから当然この期間に前年の収入を申告しなければならない。といっても、キャンプやオープン戦真っ盛りで選手本人が税務署に行けるわけはなく、基本的には税理士に任せるのが一般的だ。

現在の日本球界で一番年俸が高いのは、巨人の阿部慎之介選手。3月のWBCで活躍が期待される日本代表主将の今季の年俸は5億7,000万円。これは極端な例として、プロ野球選手の平均年俸は3,816万円(2012年開幕時、選手会調べ。出来高を除く)。サラリーマンの平均年収が400万円を切ろうというご時世だから9倍以上貰っていることになる。

しかし明日をも知れないのが、プロスポーツの厳しさだ。結果が出なければ戦力外を通告され、新しい契約先が見つからなければ待っているのは引退の二文字。試練は、好きな野球が出来なくなって新しい仕事を探す必要があるばかりではない。高年俸をもらっている選手ほど翌年は前年分の収入に見合った税金を支払わなければならないのだ。かつてオリックスの中村紀洋選手(現DeNA)が契約交渉で不調に終わって退団。翌年中日に育成選手として入団する前代未聞のことがあったが、年俸が2億円から契約時に400万円に大幅減額した。支配下選手登録後の年俸も600万円で、当時はスポーツ紙で「ノリ、税金が払えない」といった見出しが躍ったこともある。

だから引退した選手がしばしば車を売るなどしてお金を工面することも珍しくない。節税や貯金に注意して将来設計をしたり、本人が無頓着でも家族や顧問税理士がきちんとフォローしたりしている。数年前、ある1億円プレイヤーに聞いたところでは、「税理士の先生からは、家を買うなら2億円、借家住まいを続けるなら4億円の貯金をするように指導されている」といっていた。ちなみに青色申告する際の選手たちの経費科目が気になるところ。詳しい税理士によると、バットやグラブなどの用具は「消耗品」、マッサージなどの体のメンテナンスは「健康管理費」、ジムの利用料金は「トレーニング費」といった具合に分けられるそうだ。

さて今年入団した阪神の藤浪投手、野手との二刀流で注目される日本ハムの大谷投手などのルーキーは多額の契約金に対する課税対策をしなければならない。現在の累進課税の最高税率は40%。契約金が1億円余りで課税額を単純計算(経費を参入せず)した場合、約4,000万超がかかる計算だ。しかし藤浪、大谷両投手の場合は前年が高校生。急激に収入が増えた場合は税制上、「平均課税」といって負担を減らせる措置が可能だ。うまくいけば800万円程度の節税もあり得る。税理士はこうしたアドバイスを選手たちにするのも役目だ。

多くのファンに夢と希望、感動を与えるプロ野球選手。税理士として彼らを手助けをする仕事はやりがいがあるはずだ。

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