会計トピックスの新たなシリーズ記事として「会計業界の転職成功事例」をご紹介していきます。
こちらのシリーズでは会計業界で転職を成功させた方々の事例を通して、転職までの経緯や転職先決定のポイント、決定までをサポートしたキャリアアドバイザーからの声もご紹介致します。
外資系クライアント専門の会計事務所では会計資格よりも英語力がポイントに! 税法科目の合格がなくとも、チャレンジ出来る会計事務所への転職事例。
Eさん(28歳/女性)
転職前:小規模会計事務所(所員5名)⇒転職後:外資系企業専門の会計事務所(所員20名)
資格:税理士試験科目2科目合格(簿・財)、TOEIC780点
年収:転職前320万円(残業代込み) ⇒ 転職後370万円(年俸制)■転職までの経緯
Eさんは、大学で商学部に在籍していたことから、税理士という職業に興味を持ち、一般企業には就職せず、卒業後、就職せずに税理士試験の勉強を始めました。1年間勉強に専念し、簿記論・財務諸表論に合格。そのタイミングで中小企業を主な顧客とする一般的な会計事務所へ就職し、3年ほどお勤めになりました。 税理士業務としては着実に経験を積み重ねていましたが、Eさんは学生のころから短期留学をしたり、海外をひとり旅したりと、いつかは英語を活かした仕事に就きたいという漠然とした希望も持っていました。そのため会計事務所で働きながら、TOEICの勉強と英会話学校への通学をコツコツと続け、TOEICで780点、英会話も日常で使うようなごく簡単な会話程度であれば、対応出来るようになっていました。 これまでビジネスでは英語に触れる機会は全くありませんでしたが、それなりに英語に対しての自信がついたことや、学生の頃からいつかは英語を使って仕事をしたいという希望があったことから、外資系企業に強い会計事務所への転職を希望し、転職活動を開始されました。
■転職決定のポイント
半年ほど時間はかかりましたが、Eさんは最終的に外資系クライアントを専門的に扱う会計事務所に転職されました。 転職活動開始当初、Eさんは税理士科目を2科目までしか合格しておらず、税法科目に合格していないことがネックになるのではないかと懸念されていました。しかし実際には、外資系クライアントを扱う会計事務所では、レポーティング業務などの対応を行うため、複雑な税務に関する知識より、英語力を問われるケースが多いので、税法科目の取得については大きな障害とはなりませんでした。 一方、外資系企業専門の会計事務所の絶対数が転職市場にあまり多くないこと、また、震災の影響などで外資系企業専門の会計事務所が採用を控えていた時期であったことなどから、良い求人に巡り合うまでに時間がかかってしまいました。転職までの期間は半年かかりましたが、年収もアップし、希望していた英語を使う仕事ができる会計事務所への転職が実現しました。
外資系企業専門の会計事務所は、一般的な会計事務所と比較して、採用の考え方が異なります。 一般的な会計事務所では税理士試験科目が非常に重視されますが、外資系企業を専門に手掛ける会計事務所では、顧問先となる外資系企業において英文での記帳代行や給与計算などのシンプルな業務が多いことから、税法の合格がなくとも、簿記1級や会計科目の合格があればスタッフとして採用される可能性は十分にあります。レポーティングや本国経理担当者から税務の相談、外国人社長から管理業務全般における相談対応など、英語力が必要とされる場面が多いにも関わらず、会計業界には英語力を有する人材が少ないため、外資系企業専門の会計事務所では、英語力が採用の合否を決定する重要な要素となるわけです。 ちなみに「外資系+会計事務所=USCPA」という構図を描かれる方も多いかもしれませんが、実際に扱う業務はあくまで「日本の税法」を扱う仕事ですので、USCPA資格が評価の対象となることはあまり多くなく、USCPAと比較すれば、TOEICを取得している税理士試験科目の合格者を優遇するケースが多いと言えます。(但し、監査を行う場合を除く) また、TOEICの点数は、必ずしもその方の実際の英語力を示すとは限りませんが、転職市場では一つの指標として評価の対象となりますので、転職活動前には取得しておかれることをお勧めします。
今回の「会計業界の転職成功事例」はいかがでしたか? 今後もさまざまな転職の事例を定期的に掲載していく予定ですので、お楽しみに!
(担当/キャリアアドバイザー)