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【コラム】 会計士、税理士のオフィスが無くなる時代

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東京・六本木ヒルズが今年4月、開業10周年を迎える。 ホリエモンや村上ファンドがメディアに頻繁に登場したのが2000年代半ばだから、もう随分と時間が経った気がする。中央棟の森タワーに足を踏み入れると、どこもかしこも工事中だ。10周年に向けテナントを入れ替え、リニューアルの真っ最中なのだが、今や「ヒルズ族」という言葉が死語に感じる程、往時の勢いが一見なくなったように見える。

ところが昨今、六本木ヒルズで新たな「ホットスポット」がある。 森タワーの49階にあるアカデミーヒルズ・六本木ライブラリー。ラウンジのカフェは、東京タワーやレインボーブリッジなど都内の見事な眺望を拝め、スタイリッシュなデザインのライブラリーには海外の雑誌も含め、数多くの蔵書が取り揃えられている。ライブラリーの中は無線LANが完備され、ラウンジや会議室のような部屋では、パソコンで仕事をしている人たちが多い。

ラウンジには打ち合わせ用のソファとミニテーブルがあるが、そこかしこでミーティングをしているグループがある。それも平日の真昼間。大方、取引先と商談でここを使っているのかと思いきや、内実は社内会議だったりする。近くの勤務先から抜け出してきたわけではない。彼らはここがオフィスなのだ。同じ組織に所属していても、普段は別々に仕事を行い、会議の時だけヒルズに集うというワークスタイル。昨今、話題のノマドワーカーたちだけで作った会社のメンバーだったりする。

ノマドは元々は英語で「遊牧民」をさす。転じて最近は、自前のオフィスを持たず、カフェや図書館などでパソコンを使って仕事をする人たちのことを言う。TBS系「情熱大陸」でも紹介されたが、大手出版社出身のフリーランス安藤美冬さんの存在で注目し始めた人も多いだろう。アカデミーヒルズは今、一部で「ノマドの聖地」と呼ばれ、会員が増える一方なのだ。

ノマドという働き方が脚光を浴びているのはITとインターネットの進化が背景にある。人々はパソコンさえあればオフィスに出社しなくても仕事が出来るような環境が整ってきた。いま話題のノマドといえば、フリーのITエンジニアや、安藤さんのようにマーケティングを生業とする人たちが思い浮かぶが、ある税理士はブログで「顧問会社に訪問して仕事を行うスタイルが定着してくるのなら、立派なオフィスは必要ない」と指摘する。たしかに出先にいても顧客企業とクラウドでデータ通信ができる時代だ。確定申告もe-Taxで可能だし、書類の類も電子化が極限まで進めば、独立している会計士・税理士が自宅やカフェでほとんどの仕事をこなすことは不可能ではない。

ノマドのデメリットとして不安定さを指摘する意見があるが、会計士や税理士のような国家資格の仕事は社会的信用性が高いし、役割も明確。自分の裁量だけで仕事ができるとは限らないが、それでもオフィスや定時に縛られない自由な働き方を好み、税理士・会計士になった人が、ノマドスタイルを選ぶ傾向が増えるはずだ。

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