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【シリーズ 資格プラス@】 第12回 独立で食える税理士・会計士のスゴ技

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2月で税関連のニュースと言えば、確定申告だ。ところが2月15日の日経新聞朝刊は例年と趣向が違う動きを報じていた。

今度の税制改正で相続税の対象者が増える見通しとなっていることは周知の通り。記事によると、税理士のもとに駆け込む人が増えているようだ。相続税の対象は地価で決まるので、富裕層ではなくても都内に持ち家があると、増税で新たに対象になってしまう恐れが強い。大阪や名古屋のような都市部でも同様だろう。

さて日経新聞の記事は、将来、税理士や会計士として独立したい人には違う視点から学べることがある。悩める相続者たち向けに相続増税の相談セミナーを開催している税理士事務所が取り上げられているのだが、「日経新聞に取り上げられるくらいだから、どこかの大手事務所なのか」と思う人も多いだろう。筆者もそうだった。ところがこの事務所のホームページを見てみると、税理士は代表者を含めて4人というから、所帯は大きくはない。

ここ数年、「セルフブランディング」という言葉がはやっている。独立・開業する人たちに対し、マーケティングの視点から自分のブランドを高めるという意味で使われている。独立すると集客が一番の課題。広告やホームページで事務所を売り出すのは定番の方法だが、広報・メディア戦略も重要になってくる。たとえば、この日経新聞で取り上げられた税理士事務所のように大手新聞やテレビなどのマスメディアで紹介されると宣伝効果が大きいだけではない。事務所の手で情報を発信する「広告」と違って、マスメディアという「第三者」視点で発信される情報には、読者や視聴者の信頼性が高い。時折メディアに登場するようになれば、セルフブランディングに打ってつけとなり、広告やホームページにアクセスしてくる見込み客が増えるだけでなく、「この先生は有名だし、信頼できそう」ということで契約にまで至る成約率も高くなる。

ただ、メディアに取り上げられるためには、自分たちの宣伝を最優先してはならない。記者やディレクターが目指しているのは、社会的に価値のある、ニュースになる情報を発信することだ。日経新聞の件でいえば、社会的に注目されている相続増税の相談セミナーを開いたことは時流に乗ったからこそ取り上げられた記事だった。世の中の動きを見逃さない目が大事なのだ。そして取材側が求めている価値の高い情報を提供できるかもポイントだ。日経新聞では、相続増税後に東京国税局管内の1都3県で納税者が倍増するとの見通しを書いているが、このデータは取材を受けた税理士事務所の試算だ。

セルフブランディングは何も独立・開業する人ばかりではない。試験に合格して会計事務所で働いている時も社内外から評価されなければ、やりがいのある仕事は回ってこない。大学入試と違い、税理士・会計士の試験は合格した後、自分を上手に売り込む意識やノウハウを自分で身につけねばならない事を頭の片隅に置いていただければと思う。

【前回のおさらい一覧】
【シリーズ 資格プラス@】第11回 数字を効果的に使うテクニック(後編)
【シリーズ 資格プラス@】第1回  稼げる税理士、稼げない税理士
【シリーズ 資格プラス@】第2回 アタマをクールに回転させる方法(上)
【シリーズ 資格プラス@】第3回 アタマをクールに回転させる方法(下)
【シリーズ 資格プラス@】第4回 会計士・税理士が注目する「会計参与」とは?
【シリーズ 資格プラス@】第5回 メモ魔のエースが示唆する「自分ノート」の必要性
【シリーズ 資格プラス@】第6回 PDCAサイクルで試験も実務も取り組もう
【シリーズ 資格プラス@】第7回 読書術を進化させてスキルアップを
【シリーズ 資格プラス@】第8回 「奇跡の○○歳」になる~人は見た目が9割~
【シリーズ 資格プラス@】第9回 新聞のウラを読む ~会計基準の記事から~
【シリーズ 資格プラス@】第10回 数字を効果的に使うテクニック(前編)

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