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【コラム】 会計士、税理士、弁護士…チームワークの時代

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先日、「会計士、税理士のオフィスが無くなる時代」で、会計士や税理士でもノマドワーカー的な働き方をする人が出てくる<未来予測>を書いた。英語で「遊牧民」を意味するノマドは旬な言葉だから、六本木ヒルズの上層階で働く華やかなイメージを持たれがちだが、NHKのニュース24でおなじみの社会学者、古市憲寿氏が「時代に合わせて名前を変えながらも、日本人たちは常に『自由な働き方』を渇望してきた」(2012年9月2日・日本経済新聞)と指摘するように、実態は古くからある「フリーランス」や「脱サラ」などと変わらない。会計士、税理士などの国家有資格者は仕事が明快で社会的信用性がある点では、他のノマドワーカーよりも有利であるとはいえ、基本的に自分で請け負う仕事に全責任を負い、仕事が入らなければ食いっぱぐれてしまう厳しさがあるのは確かだ。

その一方で、先日の記事では、全員がノマドワーカーという会社があることも紹介した。普段は別々に仕事をしていてもプロジェクト単位で協業するのだ。ITエンジニアの場合でいうと、互いに異なる得意技術を持ち寄って協業するように互いの知見を補うのだ。実は六本木ヒルズのアカデミーヒルズやノマドカフェのような「仕事場」では、しばしばビジネスセミナーやイベントが開かれ、個々のノマドが出会う機会もある。あるいは普段近いデスクで顔なじみになって親しくなるうちに「今度こんな仕事があるんだけど、あなたの技術が使えるんじゃない?」という話になる。

コラボレーションは税理士や会計士の世界でも大事になっている。
仮にあなたがノマドの税理士だったとしよう。クライアントがお客に訴えられてしまった。「先生、どうしましょうか?」。税理士のあなたは財務周りで支援できるが、さすがに裁判の対応を面倒みることは難しい。しかし「友達に弁護士がいますよ」と紹介すれば、あなたのお客は胸をなでおろすだろう。

企業が抱える問題が複雑化する中、ノマド的な働き方で直面するのが自分の専門領域以外の課題が出てきたときだ。しかし最近は「統合知」という言葉がある。法律問題が起きたときはノマド弁護士、監査の必要が出たときはノマド会計士、日経新聞に商品を売り込むサポートをしたいときはノマドの広報コンサルタント――といったように様々な知見を集めれば、対応できる。クライアントも普段から付き合いのある税理士の紹介なら安心だろう。実際、独立した士業同士でのコラボレーションは増えているそうだ。オフィスのIT化、クラウド化でオフィスが消える時代。会計士、弁護士、中小企業診断士などのノマドたちがどこかの雑居ビルに株式会社だけを登記して、ミーティングの時だけアカデミーヒルズに集まるような、「株式会社・士業オールスターズ」が出現するようになったら面白い。

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