日経新聞の電子版のある記事が最近、ネット上の話題になった。 注目を集めたのは「サイバーエージェント、躍進支える『キラキラ女子』」(2013年2月23日)。IT業界の先端の動きをレポートするシリーズ企画「ソーシャル革命の裏側」で、大手ネット企業、サイバーエージェントで働く女性社員たちを3回シリーズで取り上げた。連載では、何人ものエース級女子社員を紹介。中には、新卒時の就活でNHKや3大出版社、大手広告会社、メガバンクなど18社もの内定(!)を取った伝説を持ち、同社初の女性取締役の呼び声のある強者もいる。目がくらむばかりの「キラキラ」ぶりが伝わってくる。
この「キラキラ女子」という言葉。少し前にネットで話題になった「リア充」という言葉からの派生だと思われる。「リア充」は、「実際の現実の生活(リアル生活)が充実している人間のこと」(はてなキーワード)で、件の日経記事も「仕事だけではなく、おしゃれも、プライベートも、全方位で手を抜かない『キラキラ女子』がサイバーエージェントの中核」という視点から、IT業界における女性活用の好例として注目している。「キラキラ女子」がもてはやされる背景には、昨今の潮目の変化もあるに違いない。日本は先進国でも女性の労働力活用が際立って低いことがなかなか改善されなかったが、なでしこジャパンのW杯制覇以後、有識者やメディアからビジネスでの女性力活用の声が大きくなってきた。
さて、会計士や税理士に「キラキラ女子」は現れるのだろうか。 そもそも二つの資格とも、女性の占める割合が10%余りと少ない「男社会」なので、女性の活躍が目立つIT業界とは文化が相当違う。せめてロールモデルがあれば、とも思うのだが、以前このコーナーで「【コラム】 今年は「美魔女・会計士」が登場か!?」を取り上げた際に指摘したように、メディアに登場するスターは稀だ。コラムを読んだ、ある男性会計士は「目立つと色々言われがちですよね」と感想をもらす。
しかし、会計士や税理士は女性の方が向いている側面もある、という指摘がある。税理士の入江俊輔氏は、①手に職をつけやすい②育児や家事と両立しやすい③財務諸表作成や記帳代行などのきめ細かい作業や、女性向けファッション・飲食業などのコンサル業務は女性特有のセンスが求められる――などを挙げている(著書「だから税理士はやめられない」)。会計士については、金融庁が女性比率を3割程度まで引き上げようと目標を掲げている。
日本の少子高齢化による労働力不足解消の為、女性の就労拡大へ社会の歯車が回り始めている。女性の起業も都市部のIT系を中心に少しずつ増えており、経営陣など指導的地位に就く割合も高まれば、会計士・税理士の資格を取った女性がパートナーとして求められる機会も増えるはずだ。 “キラキラ女子”な会計士、税理士がはやくメディアで取り上げられる時代にならなければ、日本の復活はない。