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【コラム】 会計士は見た!

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おととし、最終回の視聴率が40%という「家政婦のミタ」(日本テレビ系列)が話題になったが、その題名のネタ元になったのは「家政婦は見た!」(テレビ朝日系列)。女優・市原悦子さんが演じる主人公の家政婦が、派遣先の家庭内に秘められた数々のスキャンダルを目撃。最後は、そこの家族たちが集まったところでぶちまけるというのが定番だった。

家政婦が家庭の内幕をのぞく仕事であれば、会計士は企業の内幕をみる。 そう同列に書くと、会計士でない一般の人たちの多くは違和感を覚えるかもしれない。たしかに家政婦は毎日派遣先の家に上がって炊事洗濯などの家事を行う。ミタさんのように「私を殺して!」と言われることはないが(汗)、料理ひとつでも家庭によって味の好みで細かい注文をされるといったように対人スキルの高さが求められる。一方、会計士は、試算表や勘定科目明細表などの書類とにらめっこする「机上」で行われるイメージが強いが、実は家政婦に負けず劣らずで、リアル空間でハードな仕事があるのだ。

その一つが、棚卸立会だ。クライアント企業が工場や倉庫などで実際に持っている棚卸資産の数と帳簿記録の中身が一致しているのか確認する作業を「実地棚卸」というが、会計士も監査人としてそこに立ち会って、実際に自分も在庫の数をカウントするのだ。「春先になったら駅で新幹線に乗る会計士をいっぱい見かけますよ」と語るのは、都内の20代会計士。本社が東京にあっても、倉庫や工場が遠方にあり、確定申告シーズンの後は、棚卸立会で全国各地を飛び回る会計士たちが多い。

一般の感覚では「出張先で美味しい地元の名物を食べられるかも…」と、甘い幻想を抱いてしまいそうだが、前述の会計士は「立会は本当に大変ですよ」と振り返る。彼の場合、スーパーマーケットの担当をした時が印象に残っているそうだ。実地作業を行うのは、買い物客がいない深夜未明。青果など店頭に並ぶ商品をひとつひとつ根気よく数える。日本公認会計士協会のホームページでは、他にも、冷凍食材の確認でマイナス30度の倉庫の中を歩き回ったり、石油会社施設の立会でタンクの上に乗って確認したりといった苦労ぶりが紹介されている。なかなかハードな肉体労働が待ち受けているのだ。

商品数をカウントするだけではない。家政婦に負けず劣らず、対人スキルも必要なのだ。帳簿記録に疑問が浮かべば、監査先の社員に色々と要求しなければならない。「顔見知りの本社社員ならまだしも、工場や子会社だと社員は知らない人だし、異動も多いので『あれも見せてください』とお願いするときは結構大変です」(同会計士)という。しかも相手は、自分にお金を払ってくれている顧客でもある。強力な捜査権限を持つ警察や、不正追及の担い手として社会的に認知されているジャーナリストと違う。それだけに、会計士は数字を見る能力だけでなく、コミュニケーション能力も求められる。

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