会計業界の業界動向・トピックス

会計業界トピックス

【コラム】 仲間でビジネスを作る時代に光る会計士、税理士

会計業界トピックスの一覧へ戻る



ライフネット生命保険の岩瀬大輔副社長の著書やブログが若手のビジネスパーソンの間で好評だ。2011年に出した「入社1年目の教科書」は10万部を超えるベストセラーとなり、ここ最近のブログでも入社シーズンに合わせ、新入社員向けの記事を数々エントリーしている。東大在学中に司法試験に合格、留学したハーバードのMBAは上位で卒業し、外資系コンサルなどを経て、インターネット直販形式の生命保険会社を創業。30代の若手経営者を代表する存在でありながらも、若いビジネスパーソンにメッセージ性の強い発信を積極的に行っている。

その岩瀬氏が自腹で本を購入してまで書評を書いたのが「ともに戦える『仲間』のつくり方」(ダイヤモンド社)。彼の盟友で、日本発の求職者課金制の転職サイト「ビズリーチ」を起業した南壮一郎氏の新作で、「自分の限界を認め、仲間の力を信じることで会社崩壊の危機を乗り越えた起業ストーリーをベースに、『仲間』を探し、巻き込み、その気にさせるチームづくりとリーダーシップの真髄を語る」(ダイヤモンド社サイト)内容。何度も何度も事業がとん挫しかけた創業期、出会った仲間たちの知見を合わせて試練を乗り切って成功起動に載せていくまでを振り返っている。

岩瀬氏は、本のエッセンスをこう評する。「よい仲間を作っていく力。ベンチャー企業をやっている人なら誰しも痛感するのだが、すべては人である。いい仲間がいれば、計画が多少稚拙であっても、事業はなんとか軌道に乗る。一方、どれだけ計画が緻密それを実現する仲間がいなければいつまでも立ち上がらない」(ブログより)。岩瀬氏自身も親子ほど年の離れたパートナーとライフネット生命保険を起業しただけに仲間の大切さを実感しているようだ。

最近のベンチャーや新興企業の動きを見ていると、チームワークを強調するトレンドに変わっている。これは弁護士や会計士、税理士などの士業にとっては一大チャンスだ。情熱的でビジョンのある起業家がいたとしても、商品やサービス以外の税務、会計などについてはプロとは限らないことが多い。営業、マーケティング、エンジニア・・・そして税務・会計。そこで目指すビジネスの方向性に共鳴した上で、各分野のプロが自らの知見を持ち寄って起業に参画するのだ。本業の合間にお試しで仕事を手伝うボランティア的な立場からスタートすることも最近はある。前述のビズリーチも「二足のわらじ」からスタートしたメンバーがいたといい、あなたが会計士、税理士で、優秀な起業家の友人がいれば、本業をベースにしてリスクヘッジしながら少しずつプロジェクトに参画してもいい。

振り返ってみると、数年前までのベンチャーは起業した経営者一人が「天才」としてスポットライトを浴び、その周囲は天才に引っ張られる「秀才」または「凡才」という構図でメディアに取り上げられていたが、その傾向が変わりつつあるのかもしれない。ベンチャーの本場である米シリコンバレーのベンチャーキャピタルも最近はチームワークを投資判断の材料として重視するようになっているという。

実際、ある独立した若手会計士は本業の傍ら、起業間もないベンチャーのアプリ開発会社のCFO(最高財務責任者)として資金調達、会計管理で経営を支えている。5年程度、会計事務所などで基礎を身に着けた後、新しいビジネスによる社会変革や上場によるキャピタルゲインを果たすというロールモデルが確立されるかもしれない。

ページの先頭へ

業界動向
転職・求人情報
個別転職相談会・セミナー
カイケイ・ファンについて

プライバシーマーク