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【コラム】 出でよ!会計士・税理士のアルファブロガー

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日本のネット論壇に“黒船”が上陸した。
大型連休明けの5月7日、ハフィントン・ポストの日本版がスタートした。一部では、「ハフポ」の略称で呼ばれるこのサイトは2005年にアメリカで誕生したインターネット新聞。政治、経済、ビジネス、メディア、エンタメ、ライフスタイルなど様々なトピックの記事を掲載している。新聞と言っても、ストレートニュース主体の編集ではなく、様々なオピニオンによる論評記事が主体だ。

ハフポを創設したのはアリアナ・ハフィントン氏。ギリシア出身で、米英のメディアでパーソナリティーも務めた女性コラムニストだ。彼女自身も2003年のカリフォルニア州知事選に出馬するなどリベラル系の知識人であり、豊富な政界人脈から著名なオピニオンをブロガーとして引っ張ってきた。その中には、あのビル・ゲイツやオバマ大統領もいる。しかも原稿料がタダというから驚きだ。全米のニュースサイトの訪問者数でも、有数の人気を誇り、2011年には大手インターネット企業のAOLが3億㌦で買収。昨年には、イラク戦争などで負傷して身体障害者になった元軍人らを取材したドキュメンタリー企画記事が、米国のジャーナリズム界で最も権威のあるピュリツァー賞を受賞した。

アメリカで社会的影響力のある著名サイトの初のアジア版として日本が進出先に選ばれ、しかも朝日新聞とタッグを組むことになり、日本のメディアやネット業界では話題を呼んでいる。日本版もふたを開けてみると、与野党の有力議員や、津田大介、佐々木俊尚両氏のようなネット系で影響力のあるジャーナリストなどまずまずの執筆陣を集めている。ただ、LINEの運営会社が手掛けるBLOGOSなど他の人気ブログサイトと比べ、大きな差別化を出せていないし、本家のようにジャーナリストが地道に独自取材を重ねて、書き下ろした調査報道記事も目立っておらず、真価が試されるのはこれからだろう。

さて、ハフポでは今が旬の人気ブロガーを集めたとのことだが、開設直後に検索した限りは、会計士、税理士のブロガーは見当たらなかった。ペンネームのブロガーも含めて多数の書き手が集まるBLOGOSでも会計士、税理士は少ない。「目立つと業界内で色々言われる」(都内のある男性会計士)という風潮もあるのかもしれないが、労働問題や一票の格差といったトピックで意欲的に発信している弁護士がいるのに比べると、寂しいと思う。

会計士や税理士は書くことが苦手ではない。グーグルで検索すると、事務所のウェブサイトに所長の会計士や税理士が書いたブログをいくつも探し出すことが出来る。資格を取得して間もない若手も書いている。国内最大のアメーバブログでは、事務所関係者への顔バレを恐れてか匿名の若手会計士・税理士のブログが何本も散見される。

ただ日常業務や身辺雑記にとどまっているものが多く、あるいは専門的すぎて一般の人には伝わりづらい内容も目立つ。BLOGOS、あるいはハフィントン・ポストに呼ばれるようなブロガーになるには、専門的知識を生かしながらも、会計や税務に明るくない読者も想定した書き方が求められる。

会計や税務はビジネスを裏打ちする身近な話題であり、新聞記者では決して書けない視点で現場から発信する余地は大きい。たとえば来年4月の消費増税に伴う商品への価格転嫁について企業が受ける影響を会計士、税理士ならではの視点で書けば、参考にしたい中小企業経営者や財務・会計担当のビジネスパーソンからのアクセスは増えるはず。ブロガーとしてネット界で注目されれば、自分のブランディングにもつながる。もっと多くの書き手が出てくることを期待したい。

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