「ブラック企業」という評判
この数年で定着した「ブラック企業」という言葉、今では上場企業やグローバル企業でさえもブラック企業の対象になる時代ですから、世間の評判は恐ろしいものですね。
驚いたのは、某大企業の人事部ではフェイスブックやツイッター、2ちゃんねる等の書き込みを監視しながら、炎上を防ぐような選任者がいるのだとか。
それだけ、企業も世間からの評判を気にせざるを得ない時代になっているのだと思います。
閉鎖的な会計業界
さて、そういった時代の流れの中で会計業界に目を向けてみると面白い現象が見えてきます。それは、会計業界はそれほど世間一般からの評価を気にしない「特異な業界」だという事と、それでも経営が成り立ってしまう業界だということです。
会計業界は、昔から専門知識を要求される言わば「職人的」な文化が根付いている業界ですので、一般事業会社と比べれば閉鎖的になりがちです。また、クライアント側が複数の会計事務所を比較したり、状況によって顧問税理士を変えるようなケースは少なく、古くからなじみのある「税理士先生」とお付き合いを続けるケースが多い業界でした。
事務所に勤務する職員も資格主義の世界で生きているため、税理士科目に全科目合格するまでの間は、職場をいわゆる修業の場として考える方が多い傾向があります。そのため、多少の忙しさや離職率の高さなどに対しては黙認してしまう職員が多く、就業環境についてもある程度は我慢して働かれている方も多いようです。
会計業界にも「ブラック事務所」の噂?
しかし時代の変化に伴い、会計業界は急速に変化しています。
インターネットが普及し、クライアント側が会計事務所のサービスや価格など、それぞれの要望に合わせて顧問事務所を選べる時代に突入しました。何より、職員自身が「職場を選ぶ眼」を養ってきています。冒頭で触れたフェイスブックやツイッター、2ちゃんねる等で「●●事務所は激務なのに年収が低い」「●●事務所は先生の人柄に問題があってブラックだ」というようなコメントが山のように溢れているのです。
顧客には内情が漏れていなくても、思わぬところで事務所の情報が外部に出てしまっている可能性がありますので、これからの会計事務所の所長(または採用担当者)は、CS(顧客満足度)はもちろんのこと、ES(従業員満足度)も意識した経営を心掛ける必要があるかも知れません。
文/チーフキャリアアドバイザー