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【会計士Xの裏帳簿】会計士に「部長になりたい」マインドはいらない

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2013年7月24日掲載

産業能率大学が先ごろ公表した「2013年度新入社員の会社生活調査」によると、今年の新入社員が最終目標とする会社の役職・地位は、「社長」が11.9%で、1990年以来最低を記録。一方、「部長」は23.2%で、過去最高を更新したそうです。

私は一般企業に勤めた経験が乏しいので「部長になりたい」という言葉の意味、「相場感」のようなものがイマイチ掴めません。まして、この質問に答えているのは新入社員。自分でも意味が分かっていないことをなんとなく答えている印象もあります。とはいえ、若者の間に「トップになりたくない」というマインドがあることは見て取れます。

士業を目指す人には、独立、つまり組織のトップを志向している人は多いでしょう。ただし、公認会計士の独占業務である監査業務は、ほとんど監査法人へ就職して行うことになります。また、コンサル企業への就職を志望する会計士も多くいます。一方、税理士は会計士資格で登録する人も含め、独立開業を考える人が比較的多いといえます。

最近の公認会計士の就職については、あまり喜ばしくない事情があります。2006年の新試験制度導入で合格者数が急増したことで、監査法人の雇用の受け皿が不足し、就職難が叫ばれていることです。公認会計士協会や金融庁では、上場企業を中心とした一般企業で雇用する会計士、いわゆる「企業内会計士」の推進を行っていますが、雇用のミスマッチは否めない状況です。

会計士試験は大学生が受験することが多いだけに、特に未登録の試験合格者の場合、就職活動の時点では、ほかの学生と同じ「未経験者」としてしか見られない状況もあります。また、企業側も雇用することのメリットを測り難いのでしょう。一般企業に就職した会計士登録者の中には、「通常の経理業務と業務内容や給与が変わらない」という不満を持つ人もいます。

開業するにしろ、雇用契約で働くにしろ、士業者に必要なことは独立したマインドなのだと感じます。就職活動の際も、履歴書の「資格欄」などに記載するだけでは、アピールとしてはあまりにも寂しいのではないでしょうか。「財務会計のスペシャリスト」として会社に対して何ができるのか、ということを差別化して「営業」する能力が求められます。

つまり、企業内会計士は、冒頭の調査のように、既存の会社の枠組みの中で、「なんとなく部長くらいがいい」というような考え方を持つのが危険な職種です。会社内で独自の位置を占める働き方を、自ら積極的に提案することができるかどうかが、勝負の分かれ目となってくると思います。

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