2013年8月9日掲載
サッカーだけじゃない 税理士界の「なでしこ」
今や「なでしこ」と言えば、サッカー日本女子代表を自動的に連想するまでになった。7月下旬の東アジア杯では、最終戦で開催国の韓国に敗れ、残念ながら3連覇を逃してしまったが、試合の模様がゴールデンタイムに地上波中継されるなど国民的人気や存在感は、男子代表とすっかり同格になった。
さて税理士の世界でも「なでしこの時代」到来を知らしめるニュースがあったのはご存じだろうか。日本税理士会連合会(日税連)が今年3月末時点でまとめた税理士の登録状況によると、全国で約7万3000人いる税理士のうち、女性が初めて1万人を突破したというのだ。
急増する女性税理士
その増え方も目覚ましい。調査データを10年前(2002年度)にさかのぼると、当時は全体で6万6千人のうち女性は約6700人と、ほぼ1割だった。その後、税理士全体の数が増えるに従い、女性の比率も高まったが、税理士全体では10年間で1割増加だったのに対し、女性は5割近い伸び方をしている。
男女雇用機会均等法が制定された80年代後半から振り返ると、この20年で25~34歳の労働力人口比率は15%以上も増加。社会的に働く女性が増えたことで今回の比率を押し上げてきた元々の要因ではあろう。ただ、そうした長期トレンドに加え、リーマンショック以後の就職難の時代をサバイバルする上で、資格取得への関心が加速度的に強まった可能性も考えられる。
「女性力」の推進に期待
また、クライアントとなる経営者に女性が増えていることも、女性税理士増加の要因になっている。ちょうど今から20年前の起業家での女性比率は12%だったのが、2012年は30%にまで増加。起業したばかりだと、本人が孤軍奮闘していることも多いだろうから、同性なら安心してマンツーマンの相談に乗りやすい。
しかし、女性の社会進出が増えたといっても日本は、役員や管理職など指導的役割にある女性の比率は先進国でも最も低いクラスに入る。税理士の世界でも、全国女性税理士連盟が昨年6月、日税連に対し、女性理事の積極的登用を要求している。出産・育児期間のバックアップ体制も含め、業界全体で取り組む課題が多いことに変わりはないが、「女性力」の推進を税理士業界でもどんどんやっていきたいところだ。