2013年11月13日掲載
2013年、上場企業を中心に資格者の採用が活発化しています。特に上場大手企業においては公認会計士や税理士を経理や財務ポジションで採用する傾向が見受けられ、資格者の採用決定ケースが増えています。また、IPOを目指すベンチャーや中堅企業に関しては、将来の幹部候補として公認会計士や税理士のみならず弁護士資格者も含めて、採用を強化するケースが目立ち始めています。
一方で、企業で働いたことが無い公認会計士・税理士の皆様の本音としては、
「実際に企業内で活躍できるのか?」
「具体的にどのような働き方になるのか?」
「企業に転職をしてミスマッチになることはないのか?」
という現実的な疑問や不安をお持ちの方も相当数いらっしゃるようです。
そこで今回の会計トピックスでは、知っているようで知らない“公認会計士・税理士が一般企業に転職をした際に想定される働き方”についてお伝えしたいと思います。
上場大手企業での働き方
上場大手企業では企業経営を効率的に行うために様々な部門があり、その部門ごとに責任(業務範囲)が明確化されています。中小企業では経理や財務、場合によっては総務も含めて少数精鋭で兼務をしながら業務を遂行していますが、大手企業の場合は経理と財務でも部門が異なる場合が多いです。また、部門内においても担当者ごとに業務が更に細分化されていることが多く、“徹底した担当業務制”を採用しているケースが多いようです。
※具体例…経理部内でも日常経理処理、単体決算と連結決算、海外連結決算など異なる業務ごとにスタッフが配置されるケースが多い。(決算担当と開示書類担当も分かれているケースが多い)
上場大手企業へ転職をされる場合は、管理部門においてどのような業務を担当することになるのか、そしてその後のキャリアパスがどのように設計されているのかを把握してから入社されることをお勧めします。
ベンチャー企業での働き方
上場大手企業とは異なり、ベンチャー企業においては少数精鋭の組織で業務を運営している企業が多くなっています。決算業務、資金繰り対応、予算策定~予実分析、経営層との各種調整業務に至るまで、幅広く対応していくような「柔軟な働き方」を求められるケースが多いです。また、ベンチャーと言っても、企業のステージや社内における管理部の位置づけによってもスタッフの働き方、経営層からの要求水準も異なりますので、企業の成長ステージや、今後の事業の発展性、管理部門の将来像などをできる限り把握してから入社されることをお勧め致します。
自分の適性に合った会社を選ぶことで、ミスマッチは減らすことが出来る。
一般企業とは言っても、上場大手企業と未上場ベンチャー企業で組織の成熟度合いも異なりますし、福利厚生を含めた各制度、在籍している社員のタイプ、年齢層、定着性なども異なってきます。つまり、企業のタイプが異なれば、自ずと働き方、キャリアパス、生涯年収など様々な点で違いが出てくるということなのです。
※日系企業と外資系企業、一般事業会社と特殊法人(公益法人や学校法人など)でも、日々の働き方に大きな違いが出てきます。
入社後のミスマッチを防ぐためにも、自分自身の性格、適性、将来的なキャリアイメージをしっかりと持って「企業選択」をされることをお勧めします。
特に公認会計士や税理士(勉強中の方も含む)は、大学や専門学校卒業後、そのまま監査法人や会計事務所に入所されるケースが多い為、自己分析や企業研究を本格的にしたことがない方も少なくありません。だからこそ、会計業界から企業に転職を希望される方は、自分自身の適性を改めて分析・認識した上で活動されると良いのではないかと思います。
(文/チーフキャリアアドバイザー)