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【会計士Xの裏帳簿】税理士高齢化 若手税理士は「大引退時代」に備え研鑽を

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「定年なし」税理士の高齢化は進む

先日、税理士試験の合格発表が行われました。5科目合格を達成し、晴れて税理士資格者となった方は、905人。昨年度の1,104人から18%も減少しました。科目合格者全体でも、10,068人から8,348名となり、減少傾向は顕著です。

合格者の減少は、カイケイ・ファンの「平成25年度(第63回)税理士試験結果が発表されました」でも言及されていますが、主に受験者数の減少が原因といえます。今年度の受験者数は45,337人、昨年度の48,123人から3千人近く減っています。

受験者数が減っている原因は複合的で、単に「資格の人気が下がったから」とは言えないでしょう。日本の人口構成で若者の人口が減っており、自然減とも言えます。一時の公認会計士試験のように試験制度の大きな変更があれば別ですが、この傾向は今後も続く可能性が高いという予想もできます。

しかし、合格者は減っても税理士の数は増えていきます。定年がある職業ではありませんので、新たに税理士になる人が減っていくのであれば、平均年齢が60歳を超えると言われる税理士業界のさらなる高齢化も進むでしょう。

社会全体の高齢化が議論される際、問題とされるのが生産人口、つまり働き手の減少です。特に、人口の多い「団塊の世代(1947~1949年生)」が定年に達することが大きなインパクトを与えています。

税理士も例外ではなく、この世代はこれから引退に向かうでしょうが、70代の方も多くいらっしゃる税理士業界。サラリーマンとはタイムラグがあり、ゆるやかな変化となるはずです。

顧問先企業の世代間承継がはじまる

税理士にはサラリーマンと大きく異なる特徴があります。それは、高齢の税理士は事務所の長となっていることが非常に多いことです。

そして、高齢になってからは、実務の第一線を退いている人が多いのも特徴。年齢の高い開業税理士に顧問先が集まっている状況は確かにありますが、実情は顧問先経営者と担当となっている勤務税理士とが信頼関係を築いている場合が多いでしょう。

そのような状況で、高齢の税理士が引退した際、顧問先がどのように次世代に移行していくのか、ということは注目しておかなければなりません。親子間での事業承継はもちろん、M&Aやのれんわけ、あるいは摩擦の大きい顧客の奪い合いが起こるでしょう。事務所の法人化、大型化の流れも、属人的な事務所が企業化することによる承継の側面を読み取ることができます。

非常に大雑把な議論となってしまうことをお断りしておかなければなりませんが、今税理士として活動をスタートされる方は、「上が詰まっている」現状において、団塊の世代の引退を見据えて、5年~10年くらい後の自己イメージを持っておくべきではないでしょうか。

独立するにしても、勤務税理士として出世を目指すにしても、そのあたりの期間に、大きなチャンスが訪れる可能性は高いと思われます。「今は雌伏の時」とは言いすぎですが、来るべき税理士業界の大変化に備え、目標を見失わないよう自己研鑽に励みたいところです。

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