公認会計士協会東京会の懇親会「慶寿会」って、何?
公認会計士協会東京会の会報「東京CPAニュース」12月号によると、この度「第一回慶寿会」なるものが開催されたようだ。要するに数え歳喜寿以上の会員・準会員への慰労会なのだが、高齢会員の同窓会も兼ねているようだ。
そこで、まだ30代の若手である筆者が思ったことを書く。
筆者もその場にいたわけではないので記事に基づき書くが、ある程度の参加者は懐かしい知人に出会うことができたらしい。その知人の内訳は監査事務所の仲間、士補部会、東京会の役員、委員会、支部会等とのことだ。それ自体はとても喜ばしいが、一方で気になった記述がある。それは、たまたまかもしれないが、「知り合いが周囲に居らず、孤立していた会員もいた」との一文だ。
その公認会計士が経験した環境にもよるけれど
筆者も昔、転職経験があるからわかるが、長い目で見た時、転職後も信頼できる公認会計士の仲間がそばにいることは望ましい。特に公認会計士の場合は、人によって得意分野が違う。監査や経理が得意な人もいれば相続税が得意な人もいる。再生業務が得意な人もいれば筆者のように経験や知識を活かしつつ会計・税務業務とは異なる業務をする人もいる。そうなると、例えば自分が不得意な分野の疑問を相談したり案件を手伝ってもらったりするといった、仲間同士で助けあう状況が出てくる。そして大事な点は、そこに人間的な繋がりが生まれる点だ。
勿論、仕事は大事だ。ただ、あなたが何のために生きているかということを考えた時、仕事「だけ」というのは少し空しい。仕事に付随して人間としての色々な繋がりはその気になればつくることができる。ただ、監査法人や一般企業等でサラリーマンをしていると、その必要性に気が付かないこともあろう。そして、それに気づかず人生の終盤に差し掛かかってしまうと、もしかすると一抹の寂しさを覚えるのではないだろうか。
会計業界で転職を考えている方に提言したいこと
以上を踏まえ、会計業界で転職を考えておられる方に、一つ提言をしたい。
それは、「転職先がある程度、公認会計士または税理士同士や、場合によっては他の士業及び一般との絆も維持できる環境か否かを頭の片隅に置いた方がよい」ということだ。
ひたすら転職先の仕事だけに追われそれ以外のことができない環境の場合、情報不足に陥る不安もあるが何より人間的な視野が狭まってしまう。挙句、人生の終盤に入って孤立してしまっては、あまりに寂しい。もっと言うと、例えば転職後に何かの弾みで独立することだってあり得るのだ。そうなった時に、前の職場以外の知り合いがいないとにっちもさっちも行かなくなるだろう。
筆者は本業が不動産鑑定士であるが、不動産鑑定士協会の場合は公認会計士よりも人口が遥かに少ないためか、会員同士の連携を図る企画はあまり聞かない。それを考えると、協会側で企画を開催してくれる公認会計士業界は恵まれている。折角、環境は整備されているので、慶寿会はともかく、可能なら公認会計士協会の色々な企画や「世田谷区会」等の各地区会、あるいは筆者自身が現在、東京会の広報委員を務めているように各種委員会等に積極的に参加することをお勧めしたい。
(文/冨田建 公認会計士・不動産鑑定士、記事提供/株式会社エスタイル)