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【コラム】熱くなるロボット市場

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熱くなるロボット市場

犬のお父さんに代わる目玉!?

ソフトバンクの孫社長の「新パートナー」に注目が集まっている。
6月の株主総会シーズンは、各社の経営者のパフォーマンスが一つの見どころだが、同社の総会では、孫社長に伴って現れたのはロボットだった。愛称は「ペッパー」。ソフトバンクといえば、犬のお父さんの“お喋り”も達者だが、こちらも軽妙な掛け合いを披露する。

孫社長 「ペッパー君。毎日、銀座と表参道のショップに出勤してるそうだけど、どうですか」
ペッパー 「とっても楽しいです。ショータイムのときは拍手がおきるんですよ。早口言葉も好評なんです。テレビではSMAPのみなさんにも大受けでした」(14年6月20日・MSN産経ニュース「株主総会ライブ ソフトバンク(2)新発売するロボットと壇上でかけあう孫社長」

グーグルが買収したのは日本の○○

孫社長がペッパーを初めて披露したのは株主総会に半月先立つ記者会見だった。孫社長はこのなかでロボット市場参入を表明し、ペッパーを発表した。一世を風靡したホンダのアシモのような二足歩行こそ出来ないが、「愛をもったロボット」(孫社長)を理想に、人間との会話で言葉や声のトーンから感情を数値化して判断する「感情認識機能」を搭載。すぐれた人工知能(AI)を持つという。

ソフトバンクが参入を表明するロボット市場は、世界的にも非常に熱くなっている。無人偵察ヘリのような軍事用、自動車工場で働く産業用だけでなく、医療や介護、家事など私たちの身近なテリトリーでロボットの活躍が期待されているのだ。寝たきりのお年寄りを軽々と持ち運びする介護ロボットの出現も夢ではなくなっている。総額28億ユーロ(約39億円)の共同研究プロジェクトが動き出したという欧州は産業用を得意としており、軍事用はやはり米国が断トツで先を進んでいるが、日用分野で日本は技術力において負けていないらしい。昨年、ロボット市場に乗り出した米グーグルが買収した会社の一つは、東大発のベンチャー企業「シャフト」だった。シャフトでは、災害現場で活躍するヒト型ロボットを開発している。

ロボットが会計チェックしてくれる時代に!?

さて、会計士や税理士がロボット市場の動きをどう見るべきなのか。
まずは直近でいうと、ロボット関連の会社を持つと固い筋の顧客になる。ソフトバンクのような大企業であるとか、シャフトのような旬のベンチャーばかりではない。ロボットは精密機械の塊なので、それこそ意外な町工場でモーター等の部品を手掛ける業者があるかもしれない。経営コンサルもしている会計人の方であれば、ロボット市場に親和性のある業種・業態のクライアントに提案することもあっていいだろう。

さらに中長期でいえば……いや、まだ「夢」の段階かもしれないが、ロボット自体があなたの事務所に入ってきて助手を務めてくれることもあり得る。お茶くみ等の雑用系は勿論のこと、高度なAIにより、確定申告シーズンの精算チェック等の業務に対応し、事務所の「ブラック化」を防いでくれるかもしれない。しかしアメリカで会計ソフトの普及が税理士の仕事を奪ったことを考えると、有能すぎるロボットが、税金の計算も会計チェックも全てやってしまったら……。そんな悲観的なシナリオが「妄想」でも「ファンタジー」でもない時代になりつつあるのは確かで、ちょっと怖い気もする。

(文/新田哲史=コラムニスト、記事提供/株式会社エスタイル)

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