今年も税理士試験が終わりました。受験者の皆様は、合格発表までは息を抜けない日々が続くとは思いますが、まずはゆっくり頭と体を休めてみるのも良いと思います。
さて、私が今年度の税理士試験について少々驚いていることとして、受験申込者が大きく減ったことがあります。実際に試験を受けた人の数の発表はまだされていませんが、受験申込者数はのべ49,876人で、昨年度の55,332人から約10%減っています。
士業の資格試験受験者は軒並み減少
税理士試験の受験者数は、以前から減少傾向にありました。直近のピークは2005年度の56,314人。2013年度は45,337人で、2012年度の48,123人から約3,000人減りました。今年の受験者数は、昨年よりも減少幅が大きくなりそうです。
実はここ数年、とくに2010年あたりから、ほかの士業試験の受験者数も軒並み減少しています。各士業の2010年から2013年の受験者数の推移を調べてみると、司法試験は、8,163人から7,653人、司法書士試験は26,958人から22,494人、社労士試験は55,445人から49,292人、行政書士試験は70,586人から55,436人となっています。
とはいえ、これには数字のカラクリもあります。2010年以前を見ると、司法試験や会計士試験で大きな制度変更があったこともあり、各士業の受験者数が大きく増加している時期があります。ここ数年は「ブーム」がひと段落したことによる調整局面なのかもしれません。
資格を取ってから始まるキャリア形成
それに加え、この数年の士業志望者の減少は、雑誌の特集などで頻繁に取り上げられた「食えない士業」というアナウンスメントも後押ししたのではないかと思います。私も最近、各所で自分の職業を告げると、「最近相当きついみたいですね」と聞かれることが多くなり、影響を実感しています。そういった話が、受験を検討している人の耳にも入り、受験を尻込みさせた部分もあったのではないでしょうか。
雑誌等の記事はいいかげんなものも多いものの、「食えない」とされる理由の一つ一つについては、核心に迫る記述が多いのも事実です。私は、士業はまだまだ夢のある職業だと思っていますが、少なくとも難関資格に合格したから安泰という考えは改めたほうが良いのは間違いありません。
最近では、独占業務、非独占業務に限らず、税理士の看板・スキルをうまく利用しながら、付加価値事業を模索し、一般企業に転職、あるいは起業するといった動きが以前よりも多く見られます。会計税務の専門家への需要は決して少なくないはずです。それを自ら探り出す姿勢こそが今後重要になってくるでしょう。
ひとりひとりの税理士がキャリアを切り開くことで、会計人の活躍のフィールドは広がっていきます。合格発表を待つ受験者のみなさまも、時には自分の将来について不安を感じることもあると思いますが、自らの信じる道を力強く進んで欲しいと思っています。