AmazonやGoogleなど、インターネット関連の外国企業に対して消費税を課税できないことによって、年間で200億円以上の税金が失われています。例えば、私たちがAmazonで書籍を購入した場合、通常の書籍であれば消費税が課税されています。しかし、それが電子書籍であった場合には課税されていません。なぜでしょうか?消費税の取り扱いは、国内取引であれば課税、国外取引であれば不課税になります。そして、その内外判定はどのようにするかと言うと、資産の譲渡であれば(この場合は紙の書籍)、それが引き渡された場所が国内か国外か。役務の提供であれば(この場合は電子書籍)役務提供が行われた場所で判定しますが、提供の場所を判定するのが困難な場合などは役務の提供を行う者の事務所等の所在地で判定します。Amazonで買い物をするとクレジットカードの明細には「海外利用」と表示されます。これはAmazon.co.jpでのショッピングは日本の消費者がAmazon USAから購入しているという取引形態になっているからです。つまり、外国企業であるAmazonが日本の消費者に電子書籍を販売するときには、Amazonが外国企業であるがゆえに国外取引となり、消費税は不課税となるのです。このような課税のルールで多額の税収が失われていることを受けて、政府は役務提供における課税制度を消費が行われる国の内外判定によって課税する仕組みへと見直そうとしています。以下ではB to B、B to Cに分けて検討中の制度を紹介します。
新しい消費税の課税方法とは
B to Bにおいてはリバースチャージと呼ばれる方式を採ります。例えばA 社(アメリカ企業)がB社(日本企業)に電子広告の配信サービスを行ったとします。この時の代金は税抜きで100円とします。日本企業B社はアメリカ企業A社に対価として免税価格の100円を支払います。B社は消費税申告を行う際に本来はA社が支払うはずであった消費税8円(100円×8%)を支払います。それと同時にB社がサービスの対価を支払ったことによる課税仕入が発生していますので仮払い消費税8円を控除することができ、前述の支払分と相殺できます。消費税は本質的には最終消費者が負担する税金ですので、B to Bにおいては通り過ぎていくようなイメージです。上記のリバースチャージ方式ではB社の中で同額のプラスとマイナスがたちます。
次にB to Cではサービスを提供する外国企業が課税事業者としてサービス提供先の国で登録する方式を採っています。例えばアメリカ企業であるC社が日本の消費者であるDさんに税抜き価格100円の電子書籍を販売した場合、DさんはC社に対し108円を支払います。C社は日本で課税事業者として登録しており申告義務が生じているため、8円を申告により納税します。
導入への課題
これらのやり方にはいくつかの難しい問題がはらんでいます。サービス提供者である外国企業はその顧客が事業者なのか消費者なのかによって決済代金がかわるため、それを即座にそして簡単に判別するツールが必要であること、外国企業の事務負担が著しく増すこと、外国企業に適切な納税をさせるための国外の税務当局との連携が必要であることなどです。しかし今後、ますますインターネットを介したデータやコンテンツの売買は多くなるとみられ、税収確保の面や課税の平等性の面からも消費国課税への制度のシフトは自然な流れと思われます。
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