今年も終わりが近づいてきました。会社ではこれから忘年会や新年会のシーズンです。私もこの時期、時折顧問先の忘年会に呼ばれることがあり、積極的に顔を出すようにしています。しかし、その席でも、酔いのまわった頭で「この会の費用はどこまで損金にできるのだろうか?」と考えてしまうのはもはや職業病です。
福利厚生費?交際費?給与?
忘年会・新年会の費用は、もっぱら従業員の慰安におこなわれるもので、通常要する程度の費用におさまっていれば、福利厚生費として全額損金処理することができます。ビンゴ等で景品を出す場合も、常識的な範囲の金額であれば損金算入が可能です。
ただし条件があります。その忘年会・新年会が「従業員全員を対象とすること」です。役員や特定の社員のみが対象となるような会であれば、福利厚生費として処理することはできず、交際費等または給与・賞与となります。
ここで気になるのは、最近若者を中心に、会社の飲み会にまったく参加しない人が増えていること。もちろん、全員を対象としていれば、結果的に何人が参加しても福利厚生費にできますが、税務調査の際「これは特定の人のみを対象としたのではなく、参加を募ったけど誰も来なかったのです」と説明するのは悲しいものがあります。
二次会が福利厚生にならない理由
また、この「全員対象」を考える上で面白いのが「二次会・三次会」。福利厚生費として処理することができるのは、一次会だけと考えられます。というのも、二次会、三次会は全員を対象とした一次会の参加者の中から、さらに一部の人が参加するものであり、上記の福利厚生費の条件に合わないためです。
税法の適用は個別性があるので、ケーススタディーで断定的に説明することには気を使うのですが、この「二次会は福利厚生費にならない」という解釈は、たしかに実情に合っていて、普遍的だと感じます。忘年会の席で、豆知識として経営者に教えてあげるとよいでしょう。
交際費の損金枠拡大で忘年会も華やかに?
そして、忘年会等に外部の取引先・得意先などを招待し、その費用を会社が負担した場合には、交際費となり、損金算入は制限されます。これは、税理士が顧問先の忘年会に呼ばれるケースがまさに該当するので、申し訳ない気持ちになります。
とはいえ、交際費には「5千円基準」があり、また今年度、交際費の損金算入枠が拡大されましたので、とくに中小企業の交際費のかなりの部分は、損金にすることが可能になるでしょう。私事ですが、今年の忘年会が楽しみになってきました。
なかなか景気回復の実感がわかない中小企業。経営者の方々は「年を忘れている場合ではない」といったところかもしれません。税理士も毎度のことながら、煩わしい年末調整業務のことが頭から離れない年末年始となりますが、楽しむときは楽しまなくては損です。皆様、良い年をお迎えください。
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