平成27年度税制改正大綱では、法人税の減税とともに、各種の増税策が盛り込まれています。その中で、消費税の8%から10%への増税どころではない、なんと2倍以上の増税が実施される税金があります。それは「旧3級たばこ」にかかる税金です。
長い「経過措置」が終わりを告げる?
たばこにかかる税は、国税のたばこ税、地方税のたばこ税などがあり、合計すると通常の紙巻きたばこで1000本当たり12,244円。つまり、現在400円台で売られているたばこ一箱(20本)のうち、約245円が税金ということになります。
そして、旧3級たばことは、「わかば」、「エコー」、「しんせい」、「ゴールデンバット」、「うるま」、「バイオレット」の6銘柄。税額は1000本当たり5,812円と通常の半額以下で、一箱あたりの税金は約116円。最も安いゴールデンバットは一箱210円で発売されています。
この「3級」という名称は、昭和60年まで存在したたばこの専売制による等級のなごり。専売制が廃止された際、3級タバコは価格の低い庶民のたばこであることに配慮し、経過措置として税額を低くし、安い値段が維持されていました。
マイナーな存在だった旧3級たばこは、近年のたばこ増税により注目を浴びます。顕著なシェア拡大にともない、30年にわたった経過措置の廃止の議論が浮上しました。今回の大綱では、税額を毎年段階的に引き上げ、4年後の平成31年4月に経過措置を完全に廃止する方針が示されています。
沖縄に旧3級たばこが2銘柄ある理由
さて、旧3級の6銘柄のうち、「うるま」と「バイオレット」は沖縄のたばこです。戦後、アメリカ占領下の沖縄で製造販売されていたこれらのたばこが、日本への返還により専売制に移行するに際し、3級としてスタートしたことがきっかけです。
JTのホームページには、現在発売しているたばこの銘柄の紹介ページがあり、各銘柄の「発売年月日」が記載されています。うるまとバイオレットは「1972年5月15日」。つまり沖縄返還の日となっています。
知り合いの沖縄の税理士(ちなみに非喫煙者)に聞くと、うるまやバイオレットは、ポピュラーさはあるものの「おじいさんが吸っているタバコ」のイメージがあるようです。しかし最近は、税額の要因はもちろん、地元の「ブランド」への愛着から、若者が吸っているところを見ることも多くなり「沖縄での旧3級たばこのシェアは他県に比べかなり高いのではないか」とのことでした。
「2倍増税」に喫煙者がどう反応するのか
近年、「健康増進」の大義名分で行われる増税に対し、喫煙者は防戦一方の印象です。この潮流に対して、あきらめムードすら漂っています。そして、今回の改正が行われれば、「最後の砦」であった旧3級たばこによる「節税(?)」の手法も塞がれることになります。とくに、沖縄の喫煙事情はむこう4年でがらりと変わる可能性があり、行方が気になるところです。
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