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【会計士Xの裏帳簿】あのプロ野球球団も!! 消費税転嫁拒否調査の「効果」は!?

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【会計士Xの裏帳簿】あのプロ野球球団も!! 消費税転嫁拒否調査の「効果」は!?

経済産業省は3月16日、消費税率引上げ後、公正取引委員会と連携して強化している消費税転嫁対策の2月までの取組状況を公表。転嫁拒否行為に関する調査について、4072件着手、立ち入り検査2183件、指導を1615件、公取委による勧告を15件実施したとの報告を行いました。

消費税込価格の据え置きによる買いたたき続出

消費税転嫁に関する違反行為の大半は「買いたたき」です。買いたたきとは、商品もしくは役務の対価の額を「通常支払われる対価」と比較して低く定めること。消費税を含めた金額を、増税後も据え置く行為などがこれにあたります。

勧告事件15件については、社名と概要が公表されています。この15件には誰もが知る大企業、また地方公共団体の山形市(山形市立病院済生館)といった「そうそうたる」名前が並んでいます。

勧告事件のうち、報道で最も多く取り上げられたのが、グッズ納入業者への仕入れ価格据え置きにより買いたたきの勧告を受けたプロ野球球団、広島東洋カープでしょう。「カープ女子」や黒田投手の復帰等、球界にホットな話題を提供している同球団だけに、話題性が高かったようです。

そして、以前のコラムで調査対象として「ロックオン」されていると紹介したアニメーション業界では、「ONE PIECE」「ドラゴンボール」なども手掛ける業界最大手、東映アニメーションが、原画、動画等を制作する個人事業者に対し消費税率の引上げ分を上乗せしなかったとして、勧告を受けました。

調査・取締りの限界と制度改革の必要性

以前、私の顧問先の下請事業者に、親事業者の違反行為に関する調査票が届いたというエピソードを紹介しましたが、実感として、当局が調査に以前よりも力を入れていることは確かだと思います。とはいえ、4千件の調査という数字は決して多いとは言えません。

たとえば、法人税の税務調査は1年で9万件程度行われています。事業者が行う税務申告をもとに調査対象を決める税務調査とは異なり、調査の端緒がつかみにくく、調査人員も少ないであろうと思われる下請法に関する調査は、どうしても「サンプル抽出」的な色彩が強くなります。

勧告について、もっぱら有名企業の社名公表による心理的抑止力を狙った「見せしめ」と言い切るのは適切ではないでしょうが、類似する事例、規模の行為が多くの企業で行われ、調査も行われなかったと考える方が自然ではないでしょうか。

現在、消費税は再増税の方向にあります。そして、税額の計算がより複雑化する軽減税率の導入についても議論されています。インボイス制度を含め、支払・受取税額を正確に把握して転嫁拒否を防止するため、消費税制そのものの抜本的な改革を行う段階にきているのかもしれません。

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