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【コラム】タワーマンション節税の失敗事例

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【コラム】タワーマンション節税の失敗事例

タワーマンション節税は、相続税計算の際、一般的に評価額を市場価格よりも小さくできるため、条件次第では節税効果が見込めます。この節税方法は、いま富裕層を中心に注目を集めています。しかしながら、タワーマンションの取得が必ず節税につながるというわけではありません。また節税方法に注目が集まるということは、国税庁もその取り扱いに慎重になってくるといえます。今回は、タワーマンションが節税にならない場合、そして実際にあった失敗事例をご紹介したいと思います。

タワーマンション節税の背景

これまでにも、タワーマンション節税は一部の富裕層の間では知られた節税方法のひとつでしたが、さらに注目される背景となったのが、今年1月1日に施行された相続税改正です。基礎控除額が、これまでは5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)だったのが、今後は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)と、これまでの6割に縮小となりました。

また、税率の構造も変更となり、これまでは各法定相続人の取得金額が1億円超~3億円以下の場合、相続税率は一律40%でしたが、2億円超~3億円以下は45%に、そして3億円超の税率は一律50%だったのが、今後は6億円超については55%の相続税率が適用となりました。

この改正により、相続税対策は富裕層だけと思われていたのが、より多くの人々も対象になることとなりました。

タワーマンション節税の失敗事例

タワーマンション節税は、特にその対象物件が高層階の場合、中低層マンションよりも土地持ち分が少ないため、相続税の評価額が低くなるという傾向がある点と、通常は高層階の方が同面積の低層階部分よりも、その眺望や日当たりの良さから実勢価格が高いため、評価額が低層階の物件より圧縮できる点が最大のメリットです。

しかし、上述のメリットに相反する場合、すなわち土地持ち分の多い高層階の物件や、容積率の高い商業地に物件が建てられている場合は、評価額の単価が大きくなるため、節税効果があまり見込めなくなります。

また、タワーマンションを被相続人が取得後間もないうちに相続し、その後相続人が短期間で売却した場合の相続税評価額は、被相続人が取得した金額を適用すべきだという、以下のような事例もあります。(国税不服審判所、平成23年7月1日裁決より抜粋)

平成19年7月に被相続人が入院し、同年8月にタワーマンションを2億9,300万円で購入しましたが、同年9月に被相続人が死亡したことにより、同年11月にタワーマンションを相続人が相続しました。そして相続人は翌年の平成20年7月に、タワーマンションを2億8,500万円で売却しました。

ここで争点となったのが、相続人が相続税申告時に用いた評価額です。相続人はルール通りに評価額を5,802万円と申告しましたが、これに国税庁が待ったをかけたのです。

国税庁が申告に使うべきとした評価額は、 タワーマンションの購入価格である2億9,300万円でした。その理由は、

1、「相続人は、タワーマンションの購入価額とその相続税評価額との差額が多額であることを認識し、相続税の課税価格を圧縮し相続税の負担を回避するために、被相続人の名義を無断で使用し、タワーマンションの売買契約に及んだ点。」

2、「マンションの取得時(平成19年8月)と相続開始時(同年9月)が近接していることは、一時的に財産の所有形態が不動産であったということにすぎず、過小に財産を評価することとなり、納税者間の実質的な租税負担の平等を害する点。」 でした。

節税は合法な行為ですが、このように過激な節税対策をとれば、必ず国税庁の目にとまり、相続税法の評価額が使えなくなるケースもあります。またこうした事例が横行すると、更なる税法改正にもつながりかねません。タワーマンションを使った節税対策には、メリットだけでなく、リスクや失敗例も考慮のうえ、慎重かつ冷静な判断が必要です。

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