塩崎厚生労働相は4月20日、経団連の榊原会長を訪れ、早く仕事を始め、早く帰宅する「朝型勤務」の推進を呼びかけました。
これを受けて経団連は、約1,300の会員企業や団体に対し、各企業の事情に応じた方法で、長時間労働の削減につながる施策に取り組むよう働きかけました。
会計士や税理士といった、クライアントありきの職種の皆さんは、朝型勤務は限定的となってしまうかもしれませんが、今回は組織的に朝型勤務に取り組む会計事務所をご紹介したいと思います。
朝型生活の効果と実態
ドイツ・ハイデルベルク大学のクリストフ・ランドラー博士によると、朝型人間は夜型人間に比べ、生産性が高く、先を見越して行動できる人が多いとのことです。子どもの頃から朝型生活を実践すれば、学校の成績もよく、よい大学へ入学し、その結果、よりよい就職先を見つけられる可能性が高くなると述べています。実際、企業のトップや政治家たちが、朝早くから活動をしています。
また、2014年10月にクロス・マーケティングが行った「朝活に関する調査」によると、「朝活」という言葉の認知度は56%であったにもかかわらず、実際に朝活に参加しているのはわずか8.7%という結果が出ました。日本は諸外国と比べるとまだ労働時間が長いうえに、生活が夜型になりやすく、また育児や介護との両立が難しいため、朝活参加は発展途上であると考えられています。
朝型勤務を実践している会計事務所
それでは、朝型勤務を推進する会計事務所では、社員は早朝から何に取り組むのでしょうか。
税理士法人総合経営サービス(本社:東京都北区)は、入社1~4年目の社員を対象に、毎週月曜から金曜の朝7時から1時間、「朝勉強会」を行っています。年間を通じて体系的に税務会計の知識が得られるカリキュラムが組まれています。
講師は先輩社員が務め、火曜から金曜までに学んだ知識の理解度を測る機会として、翌週の月曜日に「考査」が行われています。また座学だけでなく、クライアント先への監査業務(試算表を使った説明など)をロールプレイングし、先輩社員から経験に基づいた指導を直接受けるというスタイルの朝勉強会も実施しています。朝勉強会を受講している新入社員からは、「(朝勉強会は)実践に活きてくる内容」、「試算表説明があるので、(ロールプレイングは)とても役立つ機会になった」と好評です。
税理士法人コスモス(本社:愛知県名古屋市)も、毎週月曜日、午前8時から全員参加の勉強会を開催し、毎週3人の社員が業界専門誌・日本経済新聞・顧客の提案事例からリポートを作成し、発表し、それに対しての質疑応答が行われます。このような勉強会を通じて、社員全員の能力向上と情報の均一化を図っているとのことです。
他にも多くの会計事務所が、クライアント向けの朝勉強会を開催していますが、上記の税理士法人はいずれも、定期的に社員向けに朝勉強会を開いていました。スッキリとリフレッシュした頭で勉強に臨むことは、組織全体のナレッジベースを高め、経営効率もあがり、利益増に更なる貢献ができる可能性を高めるため、理にかなっていると思います。
家庭の事情などで、朝に時間を設けることは難しい人もいるかもしれません。でも、時間がないと思っていると、それで終わってしまうのも事実です。できる範囲で、朝の時間の使い方を見つけてみてはいかがでしょうか。
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