現在の転職市場において、一般企業に転職する公認会計士は増加傾向にあります。
その背景には、一般企業の採用トレンドが大きく影響しています。企業で働く「企業内会計士」の存在は一般化してきており、今後も更に増えていくことが予測されます。また企業内会計士とは言っても、どのような企業に入るかで働き方やキャリアも大きく変わります。 そこで、今回の会計トピックスでは、今話題の企業内会計士ポジションにはどのようなものがあるのか、そして転職をした公認会計士がどのように活躍しているかについて、幾つかの例をご紹介したいと思います。
ケース1. 元BIG4監査法人出身。準大手総合商社へ転職し、経理を担当
総合商社に転職したTさんは現在、月次~年次決算の実務処理を担当しています。
日常のデータ入力は経理事務スタッフの方が対応し、Tさんはそのレビューと上司への報告が中心になっているようです。また、中期的なミッションとしては連結会計システムの入れ替え予定があるとの事で、そのプロジェクトメンバーとしても準備を始めているそうです。
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■解説
上場企業は監査法人の主要クライアントでもあり、公認会計士にとって最も働くイメージが湧きやすいのではないでしょうか?上場企業は言わずもがなプライベートカンパニーではありませんので、経理処理や経理体制等は一定の水準をクリアしています。そういった会社で会計士が働くことは、監査する立場→財務諸表の作り手に回るということですし、作業自体は決して難しいことではありません。 むしろ、一般企業は監査法人とは違い“人事ローテーション制度”が根付いていますので、誰が対応してもミスが生じないような体制・マニュアルを用意しているものです。ですから、経理未経験の公認会計士でも何期分か実務処理をすれば、日常業務は自然と慣れていくことでしょう。
ケース2. 元BIG4監査法人出身。現在上場メーカー子会社へ転職し、経理を担当
メーカーの子会社に転職をしたHさんは、自社の決算業務を上司と共に対応しています。
子会社とは言え上場基準での会計処理を求められますし、本社のように十分な人材を抱えている訳ではないため、作業フェーズでは税務担当1名+経理主担当2名+補助スタッフ2名の計5名で対応をしているようです。Hさんは転職1年目ではあるものの、監査法人対応や親会社へのレポーティング書類なども自身で作成しているようです。 また、今のところは組織・業務的な変化もないため余裕をもって日常業務に取り組めているようです。
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■解説
上場子会社は親会社と比べて組織規模も小さく、日常業務も比較的シンプルであることが多いです。その為、残業時間も少なく働きやすい環境だと言われています。また、上場親会社と同様の人事制度や給与制度である場合が殆どであり、福利厚生とワークライフバランスを優先したい方にはマッチしている環境ではないでしょうか(一部例外もありますが)。今後も上場子会社での公認会計士採用は増えていく見通しであり、長期勤務志向の方にとっては注目すべきフィールドかも知れません。
ケース3. 元BIG4監査法人出身。ベンチャー企業へ転職し、現在IPO準備を担当
IPO準備中の某ゲーム開発会社に転職をしたSさんは、上司と2名体制で上場準備対応に明け暮れているようです。
まだ上場経験のない若い会社のため、経理体制も脆く内部統制なども未整備であった為、Sさんが実質的なIPO準備担当として活躍されているようです。また、IPO準備担当として社外の方とのコミュニケーションの場も多く、証券会社や監査法人との打ち合わせ、VC・ファンドへの業績報告、顧問会計事務所との窓口業務などオールラウンドに対応をしているとのことです。
詳細はこちら ⇒ 【転職事例】IPO準備担当者として自社の管理体制を強化したい!
■解説
IPO準備中の企業が全て上場できる訳ではない為、このタイプの転職にはリスクも伴います。但しIPO担当者として職務を全うし、上場を達成するという経験は“一生に一回経験出来るか出来ないか”という希少なものですし、IPO準備のキャリアは高く評価をされる傾向にあることも確かです。「上場企業とはどのようなものか」を知っている公認会計士だからこそ、未完成の会社を自分の手で完成させていく醍醐味を感じることが出来るのだと思います。
今回取り上げたケースは数ある転職事例の一部でしかありません。 この数年間で企業内会計士の人数は順調に増加している状況であり、企業の中核として活躍されている方も続々と誕生しています。第二のキャリアを歩み始めた彼ら(彼女ら)の活躍をお祈りしています。
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