国税庁のホームページでは現在、幅広い層(小学生から大学生)に適した学習コーナーを公開し、次世代を担う児童・生徒・学生たちが、税の役割や申告納税制度の意義、納税者の権利・義務を正しく理解し、国や社会の在り方を主体的に考えることができるようにしています。また5月18日、同庁は、租税教育の啓発を図ることを目的とし、全国で行われている租税教育の優れた取り組み事例などをもとに、事例集を作成しました。
今回は、これまでの国税庁の租税教育の充実に向けた取り組みと租税教育の事例を見てみたいと思います。
国税庁の取り組み
国税庁HPによれば、同庁は、平成23年(2011)に文部科学省、総務省と共に租税教育推進関係省庁等協議会(いわゆる「中央租推協」)を発足し、それ以来、租税教育の推進に取り組んでいます。全国各地においても、教育委員会など学校教育関係者、地方自治体、国税局・税務署、税に関係する民間団体の関係者などから構成される租税教育推進協議会等を中心として、税の専門家(税務職員や税理士)が出前をして租税教室を開催しています。
租税教室以外でも、例えば、職業体験施設における税務署の仕事や納税の体験、鉄道やバスに乗り税の関連施設を探す移動租税教室、教員を対象とした確定申告体験、税理士が母校で行う租税教室の開催など、様々な工夫を凝らした租税教育の取り組みが実施されています。
租税教育事例1 「わたしたちの生活と政治の働き」(災害復旧の取り組み)
まず一つ目の事例は、「わたしたちの生活と政治の働き」というテーマで、小学校6年生を対象に、社会科の授業の一環として、災害復旧の取り組みを調べ、地方公共団体の働きを支える税の役割の理解に重点を置いた授業を行いました。
児童たちに、1.「災害で壊れた道路は誰がどうやって復旧させたのか」を予想させたうえで、児童たちが地域に足を運び、現場で仕事をしていた人の声を聞き、災害復旧の具体的な取り組みについて理解し、そして2.「災害復旧のための費用はどのように集められ、使われるか」については、税金が使われていることを実際の道路の写真やその地域に住む人々の話、市議会の議事録や写真などを用いて解説していきました。
様々な立場の人による災害復旧の取り組みを追究して分かってきたことや、調べたことをもとに、市や国の働きを考えながら、「関係図」にまとめ、グループで発表しました。
租税教育事例2 「教育学部における租税教育研究」
二つ目の事例は、教育学部 社会専攻の学生(2年生~4年生)を対象に、大学講師、学生、税の専門家(税務職員や税理士)が協働して、「税の授業づくり」をテーマに、学習指導案作成に取り組みました。
全15回の講義の中で、まず学生に税についての知識や理解を深める学習を行い、後半は指導対象の小中学生たちが「学んでみたい」「面白い」と思える授業構成について考えました。普段からニュースに気を配り「ネタ」を集めてもらい、講義ではそれらの「ネタ」をもちより、ニュースなどの具体的な社会的事象から、「税の意義」(小学校)、「税の在り方」「公正な社会の在り方」(中学校)といった学習内容の本質に迫れるような授業構成を考え、学習指導案を作成し、小中学校で授業を実施しました。
この他にも、多くの地方税理士会で小学校の児童、中学校及び高等学校の生徒はもちろん、大学生や社会人を対象に租税教室を開催し、税理士の方々が授業を実施しています。このような教育活動から、税の仕組みや使い道を理解してもらうだけでなく、進路選択のひとつとして、税理士の仕事に興味を持ってもらうことにも期待したいですね。
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