NISAの口座数が着実に増加しています。金融庁が発表した平成27年3月末の口座開設数は、879万1741で、口座内での買付額は4兆4109億8051万円。昨年12月末から、口座数は6.5%増え、買付額は実に48.2%増となっています。今回は、拡大するNISAの利用者の年齢層にスポットを当てて、制度の今後について考えていきます。
高齢者の利用が多いNISA
NISAにはもともと、高齢層が多く持つ金融資産を投資に振り向ける目的がありました。3月末のデータから全口座の年代別内訳は、60代が26.9%、70代が20.8%、80歳以上が8.0%となり、60歳以上で、55.7%を占めています。若年層の数値を見ると、20代は4.1%、30代は9.2%です。
しかし、昨年12月末からの口座の増加数をみると、20代が14.1%増でトップ、30代が11.6%増と続いています。60代は4.7%増、70代は3.5%増と、最も増加率の低い年代となっています。
NISA口座で行った金融商品の総買付額の割合では、60代が31.4%とトップ。次いで70代が23.1%。50代が16.8%と続きます。口座の開設数と同様に、60歳以上が全体の61%と半分を超えています。そして、買付額の増加率は、年代別に大きな差はなく、最も低い40代の46.3%から、20代の50.0%の間に収まっています。
高齢者の投資を伸ばす制度が続々?
口座数の伸びが小さい高齢の資産家は、付き合いのある金融機関からの勧めにより、かなりの割合でNISA口座の開設が進んでいるものと考えられます。口座開設数が今後も伸びそうなのは、あまり財産が多くはない若年層。買付額への影響が比較的少ないと考えられます。
買付額の増加率は全年代に大きな違いはありません。口座数が頭打ちに近づいていると考えられる高齢者も、買付額では、まだ「のびしろ」があるようにみえます。
買付を増やす方策として、現在100万円の年間投資上限額を120万円に増額することが決定しています。資産家の多くは、口座の上限枠いっぱいまで投資する傾向がありますので、とくに高齢者の買付額は増える方向に働くでしょう。
また、この制度では0歳から19歳までの未成年者が利用できるジュニアNISAの創設も決定しています。これは若年層を対象にしているとはいうものの、子や孫への財産の移転を促すものであり、高齢の利用者枠拡大と似た効果を及ぼします。
投資市場の活性化をねらう政府は、今後の上限拡大にも含みを持たせています。その際に政府が注目するのも、高齢者の「財布」ということになりそうです。
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